Ceres Holograhpics社とは?

 2009年にスコットランドで設立されたベンチャー企業。独自の技術により、新しい透明ディスプレイや拡張現実ヘッドアップディスプレイの開発をしている。2018年3月にはシードラウンドで2m£を調達。その後2019年4月にはHorizon 2020 Awardを受賞している。なお、CES2020ではテキサスインスツルメンツと共同で出展し、自動車のウィンドウにARを表示させるデモンストレーションを発表した。

次世代ホログラフィック光学素子(HOE)

 同社の技術は次世代ホログラフィック光学素子にある。元々はデータストレージ業界から生まれたホログラフィックフォトポリマー材料(BayfolHX®)を使用し、ボリュームホログラムの設計・作成を行い、独自のホログラム用透明ディスプレイやAR HUDの実用化を目指している。このフォトポリマー材料は前バイエルマテリアルサイエンスAG(現:Covestro)から入手できるものであるが、同社によるとこの材料の配合や製造技術にノウハウがあるとしている。

 Horizon2020の資金を使って、同社は高速のR2Rベースで動作可能な円筒形ドラムでの連続製造を可能にすることに取り組んでいる。薄膜での軽くて大面積のVolume Displayが印刷可能としている。

期待される車載向け透明ディスプレイ

 同社が用途として狙っているのは車載向け透明ディスプレイだ。CES2020でもデモされているが、同社のホログラフィックディスプレイを備えたデジタルウインドウスクリーンと、テキサスインスツルメンツ社のDLP自動プロジェクターで、以下のような表示をウインドウ上にするというもの。

画像クレジット:Ceres Holographics, Ltd.

 同社は現在、いくつかのグローバル自動車OEMとの商業開発プログラムに従事しており、2022年から2025年の生産開始を目標としているTier1サプライヤーをサポートしているという。

ー 技術アナリストの目 ー 同社のように車載向けの透明ディスプレイや3Dホログラムディスプレイに取り組む企業は数が多くない。まだアーリーステージの企業であるため、本格的な実用性はもう少しステージが進まないと判断が難しいが、この1~2年でモニタリングしたい有望なベンチャーの1社である。