2020年9月30日、ロボットアシストスーツを開発・製造・販売する米国企業Sarcos Roboticsが、Fast Company社が主催する2020Innovation by Design Awardsでファイナリストに選出されたことを発表した。

 Sarcos Roboticsが開発したGuardian XO フルボディ産業用Exoskeletonというウェアラブルのアシストスーツが評価の対象となっている。

Guardian XO フルボディ産業用Exoskeletonとは

 Sarcos Roboticsは創業1983年の米国ロボットシステム専業企業である。防衛産業向けにのロボットソリューションを展開してきた同社は、現在複数のロボットアシストスーツを展開している。主に産業用や軍事用に特化していることが特徴だ。

 20年以上開発されているGuardianXO フルボディ産業用Exoskeletonは、長時間の作業において最大200ポンド(約90kg)まで安全に持ち上げることができ、航空、製造、倉庫保管、ロジスティクス、石油・ガス、建設、防衛などの産業用途に幅広く展開できる。このGuardian XO Exoskeletonは2021年内の発売の予定だ。

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重いタイヤも難なく持ち上げている様子がわかる

 この世界初の全身型パワード外骨格スーツであるGuardian XO Exoskeletonは、同社によると設計と開発に20年以上かかり、念願の商品化の準備が整ったという。

CES2020でデルタ航空と共同プロジェクトを発表している

 2020年1月に行われたCES2020では、同社はこのGuardian XO Exoskeletonを活用したプロジェクトをデルタ航空と共同で発表している。これはデルタ航空が、自社の作業者に対してこの全身型パワードスーツを導入し、物倉庫での貨物取扱いやメンテナンス部での部材移動、または重機や部品の持上げなどで活用する想定だ。

 まずはパイロットプロジェクトの位置づけとなっており、実証がうまくかどうか検証するということであった。

 このように、すでに一部の企業とはこのロボットアシストスーツを使ったパイロットプロジェクトが展開されている状態である。


ー 技術アナリストの目 -
ロボットアシストスーツは日本でも市場化が始まっており、矢野経済研究所によると国内で10数億円の市場となっている。日本では低価格で軽量なところから市場化が始まっているが、Sarcosが狙うのは産業用・防衛用の単価が高い領域となっている。まだ本格的に市場ができる前の段階であるため、今後の実証プロジェクトの結果を待ちたい。