2020年11月16日、ホテル清掃のための自動化ロボットを開発するベンチャー企業のMaidbotがシリーズBでの資金調達を実施したと発表した。同社はこの資金を活用してロボットの生産を行い、北米、ヨーロッパ、アジア太平洋地域での展開を行う。
注)なお、資金調達額は公開されておらず不明である

ホテル清掃を自動化するロボット Maidbot

Maidbotは2015年、テキサス州オースティンで設立されたベンチャー企業。コーネル大学の寮の一室で設立されたMaidbotは、ロボティクス技術を通じてホスピタリティおよび産業用クリーニング業界に安全で費用効果の高い自動化ソリューションを提供する。

CEOのグリーン氏はわずか24歳であり、コーネル大学のキャンパスにあるホテルでルームアテンダントとして働いていた学生のときにアイデアを思い付いたという。グリーン氏が部屋を掃除しているときに、ハウスキーピングがホテルの最も高い変動費であることに着目した。ホテルのスタッフは今でもクリップボードとトランシーバーを使用しており、ロボット技術による効率化の余地が大きいと考えた。またホテルだけでなく、他の商業用不動産でも同じ問題があると気づいたという。

開発されたRosieという名前のロボットは、Lidarセンサーを搭載しており、オブジェクト検出が可能で、また部屋のマッピングデータを元に自律走行して床の清掃を行う。これは従来の古い掃除機を代替し、スタッフの負担を軽減するものである。

Youtubeで公開されているRosieの動く様子

このアイディアを聞いた人はルンバではだめなのか?という疑問を提起させるかもしれない。しかしRosieの動きを見ると、それがホテルのクリーニングに特化して非常にスムーズな動きを見せることがわかる。

今後はCovid-19の洗浄および消毒基準への対応によりスタッフの負荷が増えていることに着目し、消毒および湿式洗浄に焦点を合わせて新しいロボットを開発していくという。

シリーズBを主導したのは世界的な日用品の大手Reckitt Benckiser

今回のシリーズBを主導したのは世界的な日用品メーカー大手Reckitt Benckiser(RB)だ。プレスリリースによると、MaidbotはRBと提携して、ゲストと従業員の両方にとってよりクリーンで衛生的な体験を革新することにより、商用サービス業界を変革する革新的な商用洗浄ソリューションを開発するという。

「Maidbotは、多くのセクターで衛生基準を大幅に改善する可能性があります。この投資とパートナーシップを通じて、MaidbotとRBは、より多くの企業が清潔さで顧客を安心させ、衛生体験を向上させることを可能にします。」と、RBのグローバルビジネスソリューション担当のRahulKadyan氏は述べている。


ー 技術アナリストの目 -
シンプルで、商用クリーニング・洗浄市場という分野に最適化しようとしており、着実に商用化できる可能性がある。今回シリーズBでReckitt Benckiserが出資をしたのも大変興味深い。RB社からすると、日用品を製造販売するだけでなく、こうした新しいパスでユーザー接点を持ち、洗浄剤などを市場へ供給することで提携のメリットがあると判断したのだろう。