2020年10月12日、オーストラリアのDMS(Driver Monitoring System:ドライバーモニタリングシステム)を製造・販売しているSeeing Machinesが、同社が手掛けるDMSを車内・乗員モニタリングシステムにも拡大すると発表した。

Seeing Machinesとは?

Seeing Machinesとは2000年創業のオーストラリアのマシンビジョンシステム企業。AIアルゴリズム、組み込みプロセッシング、光学系技術ポートフォリオにより、ドライバーモニタリングシステムを開発。自動車・商用車・航空・鉄道などの幅広い市場へ同社ソリューションを展開している。2005年にロンドン証券取引所AIM市場(新興企業向け)に上場し、資金を市場から調達している。

今回の発表の車内・乗員モニタリングシステムとは?

Seeing Machinesは、乗員モニタリングへの参入により2030年までに最大で約11億米ドル相当の市場機会があり、同社の推定収益機会は2億5500万米ドルを超えると推計している。

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今回の拡大は、Seeing Machinesが開発してきた広視野角(WFOV)カメラシステムでドライバーをモニタリングするための頭、目、顔の追跡を行う技術を活用している。同じ車両に乗車している人を対象に、注意・障害・識別を行うことができる。

このドライバーと車内・乗員のモニタリングを組み合わせた技術のデモンストレーションは、現時点では2023年モデルの発表に合わせて披露される見込み。

乗員モニタリングは乗用車においては幼児の置き去り防止のニーズがあり、商用車においては許可されていない乗客のモニタリングやセキュリティといった目的で期待されている。特に乗用車における幼児置き去りによる死亡事故から、こうした分野への規制に関心が高まっている。Euro NCAPは、2022年から安全性評価で乗員モニタリングシステムを提供するブランドに良い評価を与える予定だ。


ー 技術アナリストの目 -
乗員モニタリングについては数年前から複数のベンチャー企業から発表も出ており、Euro NCAPの主導に合わせてようやく実用化する可能性がある。NHTSA(USA)の動向にも注目である。技術的にはDMSの技術を拡張して対応できるためコストが大きく増えることは無いとされ、今後DMSを提供する企業はこうした乗員モニタリングもインテグレーションする必要に迫られるかもしれない。