2020年10月、米国の会員制スーパーマーケットのSam’s Clubが、一部店舗に導入をしていた、Tennant Company社製の清掃用自律フロアスクラバーの導入をさらに拡大し、372台のロボット導入を行う。すでに導入している数百台のロボットに追加するという。

このロボットにはBrain Corp社が開発したBrainOS®というAIソフトウェアが組み込まれており、今回の発表は、Brain Corpの革新的なフロアスクラバーアクセサリを使用して棚の在庫をローカライズおよび分析する商品棚分析パイロットの取り組みも拡大することになる。

小売業の店舗でのロボット活用やAIの導入など、米国や中国を中心にテクノロジーの活用が急速に進んでいる。

Brain Corpの自律ロボットAIとは

Brain Corpは2009年設立の米国のベンチャー企業。食料品店、小売店、空港、病院、モールなどのダイナミックな公共スペースを自律移動し、清掃などを行うロボット開発するためのAI専門家集団である(ロボットの製造はOEMパートナーが行っている)。

同社が開発したBrainOSは、直感的なソフトウェアと制御により、ロボットを通して、フロア清掃、店内在庫配送、棚スキャンのような労働集約的な作業を可能にし、店舗オペレーションを効率化する。

同社公開のYoutubeへの直リンク
BrainOSを搭載したロボットの動作の様子がわかる

Sam’s Clubへのロボット導入

Sam’s Clubは米国ウォルマートが1983年に設立した会員制スーパーマーケットであり、全米で599店舗を運営している。いわゆるコストコと同じ業態であり、巨大な店舗面積にたくさんの商品が置かれている店舗である。

Sam’s Clubは以前よりBrainOSを搭載した自律型フロアスクラバーを導入していたが、今回店舗を拡大することになる。

高い自律性と使いやすさで知られるBrainOS搭載のマシンは、高価なカスタマイズを必要とせずに迅速に導入できるという。また、追加の技術サポートなしで、さまざまなレイアウトなど、変化する運用要件に合わせて簡単に調整できる自律性を持つ。

Sam’s ClubはBrainOSを使った商品棚分析のパイロットプログラムを進めていた。約6か月に渡るPoCが成功した後、この商品棚分析プログラムを拡大することを決定した。

このクラウド接続アプリケーションは、価格設定の正確性の検証や、店舗内オペレーションのコンプライアンス順守のサポート、商品がいつでも購入できる状態にしておくためのサポートを行う。このアプリケーションは、データ収集・スキャンアクセサリをロボット(この場合はロボットフロアスクラバーとなる)に簡単に取り付けることができる。

徐々にであるが、店舗での最先端ロボット技術の実装が始まっている。


ー 技術アナリストの目 -
店舗や施設でのロボット・AI技術の導入が徐々に進んでいる。2018年に話題になったアマゾンによるレジ無し、無人スーパーマーケットなども含め、この領域は労働集約的であり、ロボットやAI技術がうまく実装されれば、大きな効率化が期待できる。ロボットやAI企業にとってはこうした分野はチャンスだろう。