2020年11月19日、中国のスマートEVを開発しているXPeng(小鹏、シャオペン)は、Auto Guangzhou 2020(オート広州2020)で2021年生産モデルへLiDARを搭載すると発表した。また合わせて自動運転ソフトウェアも大幅にアップデートする予定で、LiDARの採用も含めて車両の高精度な物体認識性能を大幅に向上させたという。

中国発テスラに挑むスマートEVのXpengとは?

Xpengは中国広州に本社を構える2014年設立のスマートEVを開発するスタートアップ。北京、上海、シリコンバレー、サンディエゴにも拠点を構え、すでに従業員は約3,600にも上り、そのうちの約43%がR&Dに従事しているという。

そんな同社であるが、2020年8月には米国のニューヨーク証券取引所に上場し、約1,600億円もの資金調達を行った。これまでの資金調達総額は26億ドル(約2,700億円)にもなる。同社を支援しているのは、Alibabaやシャオミ、Foxconnなど錚々たるメンツであり、リードインベスターに名を連ねている。

Xpengは現在、G3 SUVとP7セダンの2車種を販売している。直近、第3四半期の決算発表では、2020年Q3に8,578台を出荷したという。前年3Qと比較して265.8%伸びており、急成長しているEVメーカーだ。

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2021年生産モデル向けにLiDARの搭載を発表

今回、同社は2021年の生産モデル向けに自動運転ソフトウェアとハ​​ードウェアシステムを大幅にアップグレードすると発表。これまでは、カメラとレーダーを採用し、コストを下げたと言われてきた(同社自動運転副社長コメント参考記事)。

しかし、今回のLiDAR採用の動きは、自動運転における戦略を多少変更した形になるとみられる。

今回発表された新しいシステムは、高解像度(HD)カメラ、ミリ波レーダー、超音波センサー、Lidar、高精度の測位およびマッピングシステムを組み合わせたもので、合計32個のセンサーを搭載したもの。十分な照明がない場面でも、大幅に知覚性能を向上させたという。

次世代の自動運転アーキテクチャは、さまざまな道路状況を幅広くカバーし、手動での運転の比率を下げ、継続的な自動運転時間を長くすることで、高度なレベルのナビゲーションガイド付き自動運転を実現する。新しいシステムは、都市の混雑環境、高速道路、地下駐車場、料金所、トンネル、夜間の運転条件など、都市と高速道路の運転に関する複数の気象条件と状況をカバーする予定だ。


ー 技術アナリストの目 -
徐々にLiDARの量産車種への搭載が始まってきた。この11月に発売されたトヨタのレクサスLSはLiDARを4つ搭載したものになっており、同社の量産車としては初めてとなる。ホンダは2021年3月に発売する自動運転レベル3のレジェンドにLiDARを搭載。他にはVOLVOが2022年に量産をする大型SUV(多目的スポーツ車)で前方監視用でLiDARが1個搭載される予定という。Xpengのような新興企業も含め、新しい技術採用動向は引き続き注目である。