2020年12月8日、米国カリフォルニアに本社を置くエアモビリティスタートアップのJoby Aviationは、Uberのエアモビリティ部門であるUber Elevateを買収することを発表した。また、JobyはUberとパートナーシップを拡大し、UberがJobyに74m$の出資を行うことも合わせて発表した。

Joby Aviationは2020年1月にトヨタが約433億円を出資したことで話題になった。なお、今回の出資はこのトヨタが出資したシリーズCの一環として、開示されていなかった50m$の投資額に追加されるもの。

同社は電動の垂直離着陸旅客機(eVTOL)を開発しており、プレスリリースによると、早ければ2023年から運行する予定。Joby AviationはUber Elevateを買収し、それぞれのサービスを互いのアプリに統合し、将来の顧客のために、地上と空の旅をシームレスに統合できるようにすることに合意した。

Uber Elevateは2016年10月に空のライドシェアサービスを実現するために設立された。CES2020では、ヒュンダイが2023年までに一部で空飛ぶタクシーを実現させるUber Air Taxiのプロジェクトに参加し、Uberの空飛ぶ車の開発を支援することを発表していた。

今回のUberによる事業売却は、コロナウイルスや世界的な景気減退を受けた急速な事業整理の一環であり、Uberはコア事業以外の売却を急いでいる。

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ただし、上記の自動運転部門の売却と同様、Uberは空飛ぶタクシーの事業を諦めたわけではない。UberがJobyに74m$の出資を行うのは、自前での機体開発を諦めたのであって、Jobyと連携して空飛ぶタクシーの事業化を狙うと想定される。

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ー 技術アナリストの目 -
Uberが自動運転部門の売却に続き、エアモビリティ部門も売却となったが、同社はコア事業に集中する方針であるためこれは規定路線だ。Jobyは一気にUber Elevateのリソースを獲得したことになり、経営のかじ取りが重要になる。空飛ぶ車の領域は、日本も含めて飛行実験が無人・有人機ともに相次いでおり、その中でもJobyは資金面でもリソース面でもドライブをかけている。