ドイツの非侵襲グルコースモニタリングを開発するベンチャー企業のDiaMon Techが現在、FDAの承認プロセス中だ。

過去、そして現在に至るまで多くの企業が挑んでいる非侵襲グルコースモニタリングのFDA認定であるが、まだ誰もその壁を突破していない。(なお、厳密には過去にFDAの承認プロセスを通った企業はいるが、その後製品トラブルで取り消しとなっている。それ以来、非侵襲グルコースモニタリングに対しては誰もFDAの承認を受けていない)

DiaMon Techが開発する中赤外レーザーを使った非侵襲グルコースモニタリング

DiaMon Techは2015年にドイツで設立されたベンチャー企業である。ゲーテ大学の分光法の研究者ヴェルナーマントル教授がCSO(Chief Science Officer)として入っており、同社の技術のルーツと思われる。

DiaMon Techは中赤外レーザーを使った非侵襲でのグルコースモニタリング技術を開発している。

従来、こうした分光法でグルコースモニタリングをする場合によく使われていたのは市場で光源が手に入りやすい可視光~近赤外光の波長帯であるが、この波長帯は、グルコース以外の成分による影響を受けやすく、十分な精度が出ていない。

中赤外の波長帯はグルコースによる吸収量が大きく、グルコースモニタリングを実現しようとすると利点があるが、一方で中赤外レーザーの輝度が低いことが課題だった。

DiaMon Techは独自の量子カスケードレーザーと、レーザーを指にあてたときに皮膚中のグルコースが発生する熱を検出することで、指先からグルコースを測定しようとしている。

2020年9月9日にFDAに事前提出前申請を行ったと発表

同社は2020年9月9日に、同社の靴箱サイズの測定デバイスでFDAに対してのPre-Submissionプロセス(事前提出前申請)に入ったことを発表した。同社のニュースリリースによると、米国での医療機器としての製品承認プロセスを開始したとのこと。

ただし、9月時点でのリリースでは、まだPre Submissionということで、正式な申請に向けてFDAからフィードバックをもらうものであるようだ。

FDAに申請をすると、通常でいけば、既存の医療機器と同等であることを証明する510kはおおよそ申請から90日(3か月)、新しい医療機器であり問題ないことを証明するDe vonoであれば120日(4か月)で結果がわかるとされる。この時間軸でいくと、この1-2か月程度の同社の動きによって、結果がわかると想定される。

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ー 技術アナリストの目 -
DiaMon Techはまずは靴箱サイズから始めて、ネクストステップではレーザーを小型化して小型デバイスにし、最終的にはスマートウォッチ型のようなウェアラブルデバイスにすることを狙う。中赤外レーザーを小型化できるかがポイントになるが、まずは靴箱サイズの非侵襲グルコースモニタリングで、FDAの承認が得られるかどうか要注目だ。