空気中の細菌やウイルスを検知する技術

昔から、空気中の細菌やウイルスをセンサーで検知するという技術が研究されてきたが、通常こうした技術はサンプラーを使い検体サンプルを採集し、ラボへ送り解析することで検出を行う。よりリアルタイム性が担保される光学センサは良質な微粒子と悪質なウイルスを見分けることが難しい。そのため、部屋の空気中に漂う細菌やウイルスをリアルタイムで検出するというのはまだ実現できていない。

一方で、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はエアロゾル化した後、空中での生存時間は数時間程度と報告されている。米国の政府系研究機関のDARPA(米国国防高等研究計画局)は、COVID-19によりこうした環境空気中のウイルスをセンシングすることは、公衆衛生モニタリングの新しい仕組みとして必要性が高まっていると指摘している。

SenSARSプロジェクトとは?

上記を背景として、DARPAは空気中のウイルスを検出できる技術の開発と実証を行うプロジェクト「SenSARS」を立ち上げている。

SenSARSは、迅速な室内空気モニタリングに適したSARS-CoV-2シグネチャを特定し、これらのシグネチャを使用して、十分な感度、特異性、および速度でウイルスを検出できるプロトタイプセンサーを開発および実証することを目的としている。

これにより、さまざまな環境の実際的な監視が可能になり、曝露や感染が発生する可能性が高い状態の警告を提供することを狙う。

DAPRAはこのプロジェクトで「Disruptive Opportunity(破壊的な機会)」となる技術を探すと表現している。それだけ、実現が簡単ではない難しい技術というのはDARPAも十分に認識している。

このプロジェクトは2020年12月初旬まで提案を受け付けており、現在は提案受付を締めきっている。なお、プロジェクトはフェーズ1(9か月)とフェーズ2(9か月)に分かれ、合計18か月の時間軸を想定し、フェーズ1+2で合計1m$の助成が行われるという。

DARPAはまだこの公募の結果について発表していない。

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ー 技術アナリストの目 -
空気中のウイルスを検知する技術ということで、非常に困難であるが、DARPAもかなり短期的な時間軸でプロトタイプの実証までを終えるつもりだ。社会的ニーズも高いため、これを機に技術的ブレークスルーが起きると面白い。