デジタルヘルスケア領域で、神経刺激デバイスの動きが相次いでいる。先には医療用途でFDAがBreakthrough Deviceとして複数の神経刺激デバイスを指定している。

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今回は医療用途ではなくウェルネス領域での動きである。

神経刺激デバイスNeoRhythmとは?

2020年12月9日、脳に神経刺激を与えることで睡眠改善やリラクゼーションを行うデバイスNeoRhythmが正式にプレスリリースされた。

NeoRhythmは、米国企業のMDCN Technologiesが開発したデバイスで、すでに早期展開されており、これまでに累積1万1,000台が市場に出回っている。

ユーザーはこのデバイスを頭や首に装着し、実証済みのパルス電磁場療法(PEMF)技術のメカニズムを使って、神経に刺激を与える。この方法自体はFDAでも承認されているもので、医療現場で使われている。日本でも磁場をパルス状に連続発生させる装置が、2017年に薬事承認を得ている。

同社が新しいのは、こうした医療現場でしか使われてこなかった技術を、ウェルネス用途で家庭で使いやすい形にデバイス化したことだ。

クラウドファンディングのIndigogoでは、180万ドル(約1.8億円)を達成。当初の目標の67倍での資金を調達。約6,000人からサポートを受けており、ウェルネス領域でのアーリーアダプター層のニーズはあるようだ。

画像クレジット:同社プレスキットより

2つの二重盲検試験(目隠し試験)でリラクゼーション効果が実証

NeoRhythmは、ヘッドバンドデバイスに配置された5つのコイルを備えており、無害な超低周波の電磁パルスを放出し、精神を誘導したい方向に周波数でコントロールする。

デバイスの効果としては、リラクゼーション、瞑想、睡眠改善、痛みのコントロール、集中改善などがあり、それぞれで異なる周波数を発するように制御するようだ。

このデバイスの有効性は、2つの二重盲検試験(目隠し試験)でリラクゼーション効果が実証されていることが論文で発表されている。
注)二重盲検試験とは、薬や医療機器の効果を調べるのに有効な手法であり、プラセボ効果のバイアスを除外できるように実施される。

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ー 技術アナリストの目 -
神経刺激デバイスが医療機器からウェルネスまで、この1年くらいで様々な動きを見せている。ウェルネス側でのクラウドファンディングの反響も大きく、米国のマインドフルネス市場の成長に伴い、このまま事業が成長できるかどうか、今後のマーケティングにかかっている。