先日、Joby AviationがUber Elevateを買収するというニュースで話題になったエアモビリティ業界であるが、今度はVolocopterからの発表だ。

Volocopterはエアタクシーサービスを2023年に開始するというコミットメントを発表した。

最初はシンガポールから開始

Volocopterは2020年12月9月、シンガポールとの2年間の緊密な協力の元、シンガポールでエアタクシーサービスを開始するというコミットメントを発表した。

同社はシンガポール経済開発庁(EDB)およびシンガポール民間航空庁(CAAS)と協力して、今後3年以内にシンガポールでエアタクシーサービスを実現する計画であることを発表。

これにより、シンガポールはアジア初のアーバンエアモビリティーをサービスとして開始することになる。

VolocopterはeVTOLという電動で垂直離陸が可能な機体を開発している。この機体は2人乗りを想定されている。

これまで同社はシンガポールの中心地であるマリーナベイエリアでテストフライトを実施してきた。今回、サービス開始に先立ち、CAAS(シンガポール民間航空庁)や欧州航空安全機関からの承認など必要な規制当局の承認を取得する。そのため、Volocopterは商用エアタクシー運行開始の承認取得の前に、包括的なテスト、飛行試験、評価、認証を実施する。

同社公開のYoutubeへの直リンク

初期ルートは、マリーナ・ベイの南部の海を巡る観光ルートとなる見込み。将来的にはルートが拡大し、国境を越えたフライトが含まれる可能性もあるという※。

※ シンガポールには、国内に観光地として有名なセントーサ島があったり、隣接するインドネシアのビンタン島、北部に隣接するマレーシアのジョホールがあるため、こうした近距離エリアが接続する可能性がある。

シンガポール民間航空庁(CAAS)が積極的に推進

シンガポール民間航空庁(CAAS)はエアモビリティの推進に非常に積極的だ。

2020年2月にはエアバスともMOUを結び、無人航空機システム(UAS)を使用した初期のサービス設計と開発を行うことに合意したことを発表している。

実はCAASとエアバスの協業は2016年に遡り、概念実証試験「Skyways」という都市部で使う無人航空機の開発を目的としたプロジェクトから始まっている。

(関連プレスリリースはこちら


Joby Aviation、EHang、Volocopter、Liliumなど空飛ぶ車の主要ベンチャー企業の全体像について知りたい方は、こちらで特集記事を作成しているのでご参考。

参考記事:(特集) 空飛ぶ車・エアモビリティの世界ベンチャー企業動向


ー 技術アナリストの目 -
コロナウイルスにより、まずは観光産業に近い立ち位置から始まるであろうエアタクシーへの影響が懸念されたが、JobyもVolocopterも1つのサービス開始ラインである2023年の時間軸を維持している。引き続きこの業界は2023年をベンチマークに進んでいくため、来年も様々な実証やテストフライトが行われるだろう。どのような動きになるか、各国の動向を注視したい。