【CES2021】CESは何から見る？困ったらイノベーションアワードから見よう

今年も世界最大の民生技術の展示会であるCES2021が始まる。今年はコロナウイルスによる影響で、初となるオンライン開催になるが、米国ラスベガスへ出張をしなくても良い分、日本から参加自体はしやすくなるだろう。

筆者も毎年CESに訪れているが、今年はオンライン参加をすることになる。毎年「CESはどこを見たらよいのか？」「今年はどうだったのか？」と聞かれているが、スタートアップで1,000社近くにもなる企業をチェックすることは非常に難しい。特に今年はブースが無い分、展示会で情報収集をする感覚がいつもと異なるだろう。

さて、CESでまず何を見るかについてであるが、もし具体的に探している技術が無く、幅広く技術トレンドをベンチマークするのであれば、結論としては「まずはCESイノベーションアワード」を見ることをお勧めする。ただし、イノベーションアワードは直近の製品について焦点をあてているため、コンセプトや将来技術の方向性などのトレンドについてはわからないことも多い。そのため、当然基調講演や各社のブースで語られているコンセプトなども把握する必要があるが、イノベーションアワードは間違いなく1つの有効な情報ソースだ。

参考）本メディアで公開済みのCESレポートはこちら

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では、CESイノベーションアワードとは何か、そして今年の傾向はどうかについてお伝えしていこう。

CESイノベーションアワードとは

CESイノベーションアワードとは、民生・消費者向けテクノロジー製品において、優れたデザインやエンジニアリングを称える毎年恒例のコンペティションとなっている。これは企業からの申請によって審査対象となり、評価がされることになる。毎年おおよそ400件以上の製品が選定されて受賞をされる。

審査員は様々な分野で高く評価されている専門家であり、産業界のメンバーも数多く入っている。例えばインテル、アマゾン、Spotify、ゼネラルモーターズ、アップル、ハーマン、アナログ デバイセズ、Google、マイクロソフト、ナイキ、LGエレクトロニクス、ジョンソン＆ジョンソン、Waymo、Nvidia、Netflix、3M、サムスン、Facebook等、その他多数の企業の専門家が審査を行っている。

そして、イノベーションアワードは最優秀賞のBest of Innovationと、ノミネートのHonoreeの2種類があり、全体400件超のうち、最優秀賞のBest of Innovationに選定されるのはおおよそ30件程度となる。

毎年、イノベーションアワードを見るのは、やはり目玉となる製品が多く選ばれていたり、完成度の高い製品が選ばれているからだ。もちろんアワード受賞企業以外にも面白い企業はたくさん出展しているが、まずはアワードから見れば全体感も把握でき、有望な企業を効率的に見つけることができる。

CES2021イノベーションアワードの傾向は？

ではCES2021のイノベーションアワードの傾向はどうであろうか？すでにアワードを受賞した企業と製品の一覧は公開されているため、それらを見てみよう。

実は2021年は初のオンライン開催であることもあり、イノベーションアワードの受賞件数も例年より少なかった。これがエントリー数が少なかったのか、目玉となる製品が少なかったのかは不明であるが、2021年は283件の受賞となっている。

これは例年の件数に比べると6割程度となっており、いかに今年のアワード受賞対象が少ないかがわかるだろう。

実際に、今年は例年に比べて受賞した製品・技術も身近で実用的なものが多く、また常連の受賞も多い。毎年の発表に比べてやや今年は目を見張る製品や技術が少ないというのが、ディープテック観点で見た時の正直な感想だ。しかしそれでもCESがカバーする範囲は幅広い。筆者自身もこれからの4日間の取材を通して、様々な新しい技術イノベーションのトレンドを大小お伝えしていきたい。

CES2021イノベーションアワードのリストを公開

では具体的にCES2021イノベーションアワードはどういう企業が、どういう製品で選ばれているのだろうか。イノベーションアワードの企業一覧はこちらのURLにある。

ただし、HP上ではどのような製品なのかぱっと見ではわかりにくい。そのため、製品概要を見た上で、「製品名（簡易）」という項目に一言でその製品を表した。また、筆者が注目した、面白そうな製品については★マークをつけているので参考にして欲しい。ざっと見ていただくだけでも、今年CESが有望と認識した製品がどのようなものがあるか概要を掴むことができるはずだ。

なお、自動運転やデジタルヘルス、ロボティクスなどの主要分野におけるCESの動向についてはまた別途、詳細調査後にコンテンツを作成する予定である。ここではあくまでイノベーションアワードの紹介に留めたい。

注1）ただし、あくまで筆者の視点はディープテックの領域であり、いわゆるノートPCやスマートフォンなどの一般コンシューマー製品はあまり見ていない。

注2) 昨年のCES2020から既出の企業も再度選定されていることもあり、そうした企業は一部除いているものもある。あくまで簡易スクリーニングで★をつけており、また、分野は多岐に渡るため、見る人によって注目企業は変わる点も注意だ。必ずしも網羅的な評価ではない点はご留意頂きたい。

注3) この記事公開後のCES開催中にもイノベーションアワードのリストに企業が追加されている例が見つかっている。そうした企業は数社いる可能性があるが、下記のリストには含まれていない点はご留意頂きたい。

CESイノベーションアワード受賞製品一覧（1~50）

CESイノベーションアワード受賞製品一覧（51~100）

CESイノベーションアワード受賞製品一覧（101~150）

CESイノベーションアワード受賞製品一覧（151~200）

CESイノベーションアワード受賞製品一覧（201~250）

CESイノベーションアワード受賞製品一覧（251~283）