中国の自動運転スタートアップUISEE(馭勢科技)が、2021年1月、10億元(約160億円)以上の資金調達を行ったことを発表した。

商用セグメントにおける自動運転に強み

UISEEは2016年に設立された中国の自動運転スタートアップ企業である。CEOのWu Gansha氏は元Intel Research Chinaのトップで、AIの専門家、自動運転のベテランらで構成されている。

同社のターゲットは、一般乗用車というよりは、物流やシャトル・トラクターなど、空港や倉庫内外での近距離用途にフォーカスしてきた。中国メディアによるCEOであるWuGanshaへ実施したインタビューでも、全体としては市場は大きいがニッチな市場にフォーカスしていることについて言及している。なお、このインタビューの中で、2021年末までに約1,000台の自律運転車の運用を実現し、2億元(約30億円)の収益を達成することを望んでいると語っている。

同社の自動運転システムはカメラ、LiDAR、レーダーを使い、ディープラーニングで学習されたアルゴリズムで外部環境を認識し、車両を制御する。「フルシナリオ、リアル無人、全天候」での自動運転の実現が同社のコンセプトだ。

中国官民一体ファンドが出資

出資を行ったのはNational Manufacturing Transformation and Upgrade Fundという、中国政府機関の財務省が主導する基金。この基金は財務省が15.29%の株を保有し、次いで中国開発銀行の子会社のChina Development Bank Capital Coが13.59%の株を保有する、官民一体のファンドである。このファンドは中国の製造業を変革するために、革新的な製造業のバリューチェーン全体に投資をする。

今回の出資の背景として、基金の関係者はこう述べている。「自動運転の開発は変革を加速するのに役立つだけではありません。中国の自動車産業のアップグレードだけでなく、製造力と科学技術の構築を加速するのに役立ちます。UISEEは北京からの主要なサポートを受けているハイテク企業として、自動運転ソフトウェアとハードウェアのコアテクノロジーに明らかな利点があり、空港、工場、公共交通機関、ロボタクシーなどの複数のシナリオで加速しています。業界が徐々に加速する中、UISEEは引き続き公共交通機関とロジスティクスで産業推進の役割を果たし、製造業界の品質と効率の向上を加速し、中国の自動運転の主要なベンチマーク企業になると確信しています。」

UISEEは今回調達した資金を、自動運転プラットフォームにおいて、主要技術の研究開発を強化し、大規模な商品化を推進するのに活用するという。

BoschもシリーズBで参画している

画像クレジット:RBプレスリリースより

UISEEにはRobert Bosch Venture CapitalもシリーズBで参画している。これは2020年2月のことで、当時のプレスリリースの中で、香港国際空港(HKIA)において、自律トラクター向けのUISEEのソリューションを使用し、テスト段階を無事に完了し、日常業務で実際の荷物の輸送を開始したことも発表されている。

(今回の関連プレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
UISEEは良い意味でニッチで短期での実用的な市場から自動運転を攻めようとしており、比較的早期でのマネタイズが期待できる点で面白いアプローチをしている。他の自動運転スタートアップのように派手ではないが、近距離物流やシャトルなどで、着実に自動運転の社会実装で事業化を果たすことが期待される。提携先であるボッシュやGMとの絡みも今後どうなっていくのか注目だ。