ユナイテッド航空は2月10日、「空の旅を脱炭素化する新技術に投資する」取り組みの一環として、米国カリフォルニアを拠点とする電気垂直離着陸(eVTOL)を開発するベンチャーのArcherと提携すると発表した。

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今回の協業により、eVTOLがユナイテッドの運用・ビジネス要件を満たす場合、ユナイテッドはメサ空港と協力し、最大200機のeVTOL航空機を導入し、ユナイテッドのハブ空港で運用を行うことを想定している。今後5年以内に密集した都市環境で通勤するための、経済的で低炭素な方法を実現するという。

今回の発表は、2月10日に公開されたArcherの投資家向けプレゼンテーション資料にも記載がある。Archer側からの発表によると、今回のパートナーシップにおける見込受注金額規模は10億ドル(約1,000億円)+オプションで0.5億ドル(約500億円)となっている。また、納入は2024年内を想定しているようだ。

「ユナイテッドが地球温暖化と戦う方法の一部は、空の旅を脱炭素化するテクノロジーを採用することです。Archerと協力することで、ユナイテッドは、よりクリーンで効率的な輸送モードを採用する時が来た航空業界を示しています。適切なテクノロジーを使用して、航空機が地球に与える影響を抑えることはできますが、これを早期に実現し、着陸を支援する方法を見つける次世代の企業を特定する必要があります」と、ユナイテッドのCEOのScott Kirby氏は述べている。「ArcherのeVTOL設計、製造モデル、エンジニアリングの専門知識は、世界中の主要な大都市での通勤方法を変える明確な可能性を秘めています。」

ユナイテッド航空の脱炭素化への投資の動き

ユナイテッド航空は2020年12月に、脱炭素化へ向けた技術への投資を行い、2050年までに温室効果ガス(GHG)排出量を100%削減するという目標を発表している。今回のArcherとの提携はこの動きの一環となっている。

ユナイテッドはArcherの前に、いくつかの脱炭素化へ向けた投資の発表を行っている。1つは1PointFive, Incという「ダイレクトエアキャプチャ」技術を開発するベンチャー企業への数百万ドルの投資を発表していた。これは空中でCO2を排出する際に、空気からCO2を直接抽出し、捕獲する技術となっている。

2つ目は持続可能な航空燃料への投資ということで、米国ボストンに拠点を置くWorld Energy社のSAF(持続可能な航空燃料)を最大1,000万ガロン購入することも発表。

さらに3つ目として、持続可能な燃料を生産するFulcrum BioEnergyに3,000万ドル以上を投資した。

Archerは時速約240kmのeVTOLを2023年までに生産開始

Archerは時速150マイル(約240km/h)でフライトすることができる、4人乗りでのeVTOLを開発している。この機体は6枚の5枚刃の傾斜プロペラとVテール、そして143kWhのバッテリーセルを備えており、現時点では60マイル(約96km)の距離を飛行することができる。同社によると、現行のモデルはこうしたスペックであるが、将来発表されるモデルは、より速く、遠くに移動できるようになるという。

昨年までほぼステルスモードで詳細が不明であったArcherは、急速に様々な企業との提携を発表している。今年1月に発表されたFCA(フィアットクライスラー)との提携もその1つだ。

FCA(フィアットクライスラー)との提携に関する記事はこちら:

今回の発表では、Archerの航空機を使うことで、個人の通勤時間を節約できるだけでなく、ハリウッドと最初のフライト先候補の1つであるロサンゼルス国際空港(LAX)間の旅行で、乗客1人あたりのCO2排出量を47%削減できるとユナイテッド航空は推定している。

(今回参考のプレスリリースはこちら


Archer含む世界の有力空飛ぶ車ベンチャーの動向を全体像をまとめている。有力プレーヤーを一気に把握するのは下記から。

参考記事:(特集) 空飛ぶ車・エアモビリティの世界ベンチャー企業動向


ー 技術アナリストの目 -
別の記事でも書く予定ですが、ArcherはSPACによる上場も行うと発表しており、またJoby AviationもSPACで上場するという話が出ています。自動運転や電気自動車などのモビリティ分野で活発化しているSPACですが、ついにエアモビリティの領域においても活用される流れとなり、各社2023年~24年の量産化に向けて巨額の資金調達が行われることになりそうです。海外におけるエアモビリティの業界の動きはこのコロナウイルス影響下においても非常に活発化しているようです。