米国カリフォルニアに本社を置くエアモビリティスタートアップのJoby Aviationは、現在、米国におけるeVTOLの認証ステップが進んでいることを発表した。

今回発表されたマイルストンは2つあり、最初の売上を上げることができたことと、米国連邦航空局FAAとの間で、G-1認証基準で合意をしたことが挙げられる。

Joby AviationがAgility Prime関連で売上を計上

このJoby Aviationにとって最初の売上が上がったのは、米国空軍が立ち上げたプロジェクト「Agility Prime」によるものとなっている。このAgility Primeは、高度なエアモビリティビークルとしての空飛ぶクルマの商業化を加速することを目的としたプログラムとなっている。

元々昨年末に、Joby Aviationの4人乗りの機体S4のプロトタイプ設計は、このAgility Primeの活動の一環として、米国空軍によって最初のAirworthiness(注)の承認を受けていた。このマイルストーンにより、Joby Aviationは2021年初頭に米国空軍との契約の下で飛行できるようになると言われていた。
注) Airworthinessは直訳すると耐空性となるが、航空機業界においては「法律的にも機械的にも安全に飛行が出来る状態にある航空機」という意味で使われるようである1

今回の売上計上というのは、この流れの中で米国空軍との契約の一環となる。

JobyAviationの創設者兼CEOであるJoeBenBevirt氏は、次のように述べている。「Agility Primeプログラムは、米国内外のクリーンな電気航空機のプラスの影響を理解し、加速する貴重な機会です。10年間のエンジニアリングと1000回以上のテスト飛行により、米国政府に最前列の席を与えながら、この新しいセクターの可能性を実証する上で重要な役割を果たしていることに興奮しています。」

空飛ぶ車の事業化を支援するAgility Primeとは?

前述したように、Agility Primeとは米国空軍が立ち上げたプロジェクトである。政府主導(米国空軍主導)のこのコンソーシアムは、エアモビリティに関連する業界、投資家、および政府のコミュニティを結集することを目指している。対象としては、中大型のeVTOLとなっている。

このプログラムは2020年4月27日から5月1日の週までのローンチウィークセッションを行い、その後の提案プロセスを経て19社が参加を申請している。最終的には政府機関と企業が、調達契約を締結することを想定しているという。

2020年12月時点で米国空軍から発表されている情報2)では、このプログラムの元で、数百万ドル(数億円)規模の契約締結がされているということであった。Agility Primeの時間軸は、2023年にこのeVTOL(ORB)を米国空軍にて配備する計画となっており、以下のようなユースケースが想定されている。

  • 戦場への移動
  • 物資の配達
  • 空中からの医療用品の配達
  • 捜索救助
  • 野火の抑制・消火活動 など

FAAとの間でG-1認証基準で合意

Joby Aviationは、合わせてFAA(Federal Aviation Administration:米国連邦航空局)とのG-1認証基準で合意したことも合わせて発表している。G-1は、航空機が民間商業活動の認証を受けるために満たす必要のある基準の概要を示すもの。マイルストーンに到達することは、米国で新しい航空機を認証するための重要なステップが進んでいることを示す。

Jobyの航空機は、通常カテゴリの飛行機に関するFAAの既存のパート23要件に沿って認定され、JobyのeVTOL航空機に固有の要件に対応するために、特別な条件も導入されるという。G-1文書で定義されているこれらの特別な条件は、今後数か月以内に米国官報(米国政府機関の告知)で公開される予定という。

空飛ぶ車の認証は、現在は航空機の認証がベースとなっているが、経済産業省が委託した調査3)によると、従来区分の機体に落とし込める場合はその従来基準が適用され、それができない場合は、基準を新たに作成するというプロセスに入る。現在、多くのeVTOL機体メーカーが要件策定に向けた作業に入っているとされ、その要件確定プロセスをJoby Aviationが終えたということになる。


空飛ぶ車の主要ベンチャー企業の全体像について知りたい方は、こちらで特集記事を作成しているのでご参考

参考記事:(特集) 空飛ぶ車・エアモビリティの世界ベンチャー企業動向


ー 技術アナリストの目 -
米国政府機関が積極的に、民間と一緒になって機体のユースケースの開発と、機体の調達を行うことで、市場萌芽期における支援を行っている官民一体のとても面白い例です。ここまでですでに数億円の金額が動いており、今後さらにその調達規模は拡大すると見込まれます。軍が率先してユースケースを開拓し、初期ユーザーになるというのは、DARPAなどでも共通する構図であり、米国におけるイノベーション育成のエコシステムの一翼を担う動きを象徴していると感じます。

参考文献:

1) CFI Japanの解説記事(リンクはこちら

2) AFWERX Agility Prime announces “flying car” military airworthiness, infrastructure milestones

3) 省エネルギー等に関する国際標準の獲得・普及促進事業委託費, 経済産業省