2021年1月27日、ドイツの空飛ぶ車・eVTOLを開発するベンチャー企業のLiliumが、インフラ開発事業者のFerrovialと提携し、米国フロリダに10か所以上のバーティポート(eVTOL用の離発着ターミナル)を開発すると発表した。

今回の発表は昨年11月に発表された、フロリダ州オーランドのノナ湖エリアにバーティ―ポートを建設するという計画に続くもの。

Liliumは地域のエアモビリティサービスに焦点をあてた、短中距離向けのeVTOLを開発しているベンチャー企業。すでに資金調達総額は376.4m$(Crunchbaseのデータ)に到達し、このエアモビリティにおいては開発が先行している企業である。シリーズBから中国のテンセントも出資を行っている。

eVTOL用バーティポート(Vertiport)とは?

eVTOL航空機においては、現状は多くが飛行実証中であり、まだ限定されたエリアでの飛行であったり、既存のヘリポートインフラや空港インフラを利用している。一方で、今後、より飛行エリアを広げて実運用をしようとすると、都市部や郊外に離発着のできるポートが必要となる。そこで、eVTOLの運用を踏まえた最適なポート(Vertiport)のインフラ整備の動きが出てきている。

Liliumは昨年頃から積極的に、このバーティポートの設計や方針についても情報発信を行うようになってきており、同社のブログによると、eVTOLの運用を踏まえた離陸エリア、駐車スタンド(充電機能含む)、ターミナルの3つの要素から構成されるという。

バーティポートのイメージ(レンダリング)

同社公開の動画への直リンク

上記の動画は比較的大型のバーティポートを想定したものとなっており、いわゆる高速道路のサービス・パーキングエリアのようなものを想起させる。同社によると、最小の要件を満たすバーティポートで100万~200万ユーロで整備できるとしており、大きいものは700万~1,500万ユーロ(あるいは必要に応じてそれ以上)のコストで整備が可能という。

フロリダで整備されるエアモビリティインフラ

フロリダにおいては、昨年、オーランドのノナ湖エリアでeVTOLネットワークを整備することがLiliumから発表されていた。「都市の未来」と評されているノナ湖は、オーランド国際空港をハブとしたエアロトロポリスであり、この空港は年間7500万人の利用者がいるという。2025年までにバーティ―ポートの建設を行い、運用を開始するという。

今回発表されたのは、フロリダに10か所以上のバーティポートを作るということのみで、まだその建設場所については明かされていない。昨年発表されたノナ湖エリアの開発とどのように関係しているのかはまだ不明な部分が多い状況だ。

なお、今回の発表においてLiliumのCOOであるRemoGerber博士は、次のように述べている。「フロリダでは、地域全体に高速輸送ネットワークを提供するという当社の戦略を実現します。そして世界での空港建設とオペレーションの知見を持つFerrovialは理想的なパートナーです。ほぼすべての2,000万人のフロリダ人が、私たちのバーティポートから30分以内に住み、サンシャインステート(オーランド)への年間1億4,000万人の訪問者は、目的地への移動に利用できる高速オプションを利用できます。」

(今回参考のプレスリリースはこちら


Joby Aviation、EHang、Volocopter、Liliumなど空飛ぶ車の主要ベンチャー企業の全体像について知りたい方は、こちらで特集記事を作成しているのでご参考。

参考:(特集) 空飛ぶ車・エアモビリティの世界ベンチャー企業動向

3月30日にLiliumがSPACで上場することを発表した件についてはこちらをご参考。

参考:空飛ぶ車ベンチャーのLiliumがSPACで上場すると発表


ー 技術アナリストの目 -
ドイツのLiliumはeVTOLの領域では先行している有名スタートアップですが、昨年頃から実際の機体運用を都市部において実装するフェーズに入ってきました。昨年からLiliumが情報発信をしていたバーティ―ポートのコンセプトに対して、着実に具体化しようとする動きであり、動きが前進しているのを感じます。ただしフロリダに限らず、海外においては車中心の交通インフラであることもあり、特にハブの国際空港から郊外へ移動する場合、郊外から目的地までの近距離移動の手段も合わせて整備する必要もあるため、eVTOLだけでなく、全体でのモビリティ設計がどうなっていくのか今後見ていきたいと思います。