2021年2月16日、米国カリフォルニア州に拠点を置く、医療用ECGウェアラブルパッチを開発するベンチャー企業のVivaLNKが、同社のウェアラブルデバイスを使った6分間歩行試験用のソリューションを発表した。

eSkinのウェアラブルデバイス

VivaLNKは2014年に設立されたベンチャー企業。元々は2014年に、GoogleのATAP(Advanced Technology and Project)グループと共同で開発したデジタルタトゥーを元に、eSkinウェアラブルパッチを製品化した。

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このウェアラブルパッチは、独自に設計された薄く通気性の高いフィルム基板に、導電性インクで電極がプリントされている。わずか90cm(横)×28cm(縦)のウェアラブルパッチデバイスであり、重さは7.5gなので装着負担が全く無いことが特徴。このデバイスでは心拍数・呼吸・ECG(心電)が測定できる。

同社は、医療グレードのウェアラブルデバイスを目指し開発を進め、2019年にはECGセンサーとしてCE Markを取得し、2020年にはFDAのクラスⅡを取得している。

主には研究開発用途や医療機関で使われており、ビジネスモデルとしてはBtoBとなっている。

6分間歩行試験とは?

6分間歩行試験とは、肺高血圧症、うっ血性心不全、肺移植前の評価、間質性肺疾患、またはCOPDの患者に使用される、在宅医療の適量を決めたり、治療効果を測るための一般的な運動テストとなっている。

通常、この6分間歩行試験は、平坦な直線の道を6分間の間にどれだけ歩行することができたかという歩行距離と、息切れの主観的評価によって評価される。この歩行距離と臨床評価との関係は様々な論文で有効であることが発表されている。一方で、客観指標(生体データ)は現行使われておらず、VivaLNKのデバイスを使うと臨床医が心肺機能を評価するためのECGや心拍数データをデータベース上で閲覧することができる。

「医療用ウェアラブルは、患者やその臨床医に大きな負担をかけることなく、臨床研究で新しい潜在的に意味のある結果を探求することを可能にします」と、バイオ医薬品企業Gossamer Bioの臨床開発担当副社長であるRobert F.Roscigno博士は述べている。

(今回参考のプレスリリースはこちら


2021年に注目すべき、デジタルヘルスの健康・ヘルスケアモニタリングや解析技術の動向について整理した。技術の全体像について知りたい人はこちら。

参考:(特集)2021年デジタルヘルスの技術動向 ~健康・ヘルスケアモニタリング / 解析~


ー 技術アナリストの目 -
eSkinは手首等に巻くようなウェアラブルデバイスと同様に装着負担が少なく、かつ常時体に密着させることができるため、ECGや心拍変動などのパラメーターの医療グレード測定を実現しやすく、以前より注目されています。難しいのは生体データの解析技術とセットでないとハードウェアの有用性を示せないことで、VivaLNKも様々な企業や大学と提携することで用途開拓を試みているようです。素材メーカーにとってはチャンスが多い領域ではありますが、素材側だけでは価値を体現できないため、生体データ解析プレーヤーとの協業が求められるでしょう。