非侵襲での血行動態モニタリングデバイスを開発するカナダの医療機器ベンチャーFlosonics Medicalは、ヘルスケア領域のベンチャーキャピタルであるArboretum Venturesがリードインベスターの1400万ドル(約14.7億円)の資金調達ラウンドを完了したことを発表した。

超音波での血行動態モニタリング

Flosonics Mdicalは2015年にカナダのオンタリオ州で設立された医療機器ベンチャー企業である。この企業は、カナダオンタリオ州北東部のヘルスケア領域の研究機関であるHealth Sciences North Research Institute(HSNRI)の施設に入居して、研究開発を行っている。

病院において、重症患者の血行動態をモニタリングするための非侵襲的ワイヤレスセンサパッチ(FloPatch)を開発しており、このデバイスは首に張り付けることで血行動態をモニタリングすることができる。現行は非常に侵襲的な方法で血行動態を行うため、患者の負担も大きいが、同社のパッチは超音波ドップラーによってウェアラブル型で血行動態の測定が可能となっている。

新しいバイタルサインとしての血行動態

同社の発表によると、血流は新しいバイタルサインであり、患者モニタリングの新しいパラダイムだという。前回の資金調達時のリリースによると、同社の最高医療責任者であるDr. Jon-Emile Kenny氏はこう述べている。「これまで、特にケアの初期段階で、蘇生の有効性について臨床医に生理学的フィードバックを与えるツールはありませんでした。FloPatchは、救急車、救急治療室、集中治療室にいる重症患者を迅速かつ効果的に監視する方法を提供する可能性があると信じています。」

血行動態をモニタリングは、心機能の診断にとって有用なツールとなる1。グローバル調査会社のリリースによると、血行動態モニタリング市場は2019年に約912百万ドル(約962億円)となっており、2020〜2027年の予測期間で6.4%以上の成長率で成長すると予想されている。

同社のデバイスはすでに米国FDAとカナダの保健省から医療機器認定を受けており、今回の調達した資金を活用して、北米での事業立ち上げと、新製品開発を行うという。

(今回参考のプレスリリースはこちら


2021年に注目すべき、デジタルヘルスの健康・ヘルスケアモニタリングや解析技術の動向について整理した。技術の全体像について知りたい人はこちら。

参考:(特集)2021年デジタルヘルスの技術動向 ~健康・ヘルスケアモニタリング / 解析~


ー 技術アナリストの目 -
現時点では重症患者のモニタリングに用途を限定していますが、より持続的に利用できる形でウェアラブルデバイスの開発が進めば、将来的には自宅での予後のモニタリングなどでも活用できる可能性を秘めていると考えられます。また、心不全の発作予測・予兆検知のような技術も研究開発されており、こうしたデバイスが将来適用できる可能性もあると感じます。

参考文献:

1) 血行動態モニタリング -その生理学的基礎と臨床応用 -、エドワーズライフサイエンス株式会社(リンクはこちら