2021年3月3日、空飛ぶ車を開発するVolocopterがシリーズDの資金調達ラウンドを実施したと発表した。今回の資金調達額は2億ユーロ(約258億円)となっている。

実用化を見据えて多様な投資家が参加

今回の資金調達ラウンドでは、ダイムラーやインテル、吉利などの既存投資家に加えて、新規投資家としてプライベートエクイティ・VCのBlackRockやAvala Capital、高速道路や空港インフラを開発するAtlantia S.p.A.、自動車部品大手Tier1のContinental AG、日本の通信大手のNTT、金融・リース大手の東京センチュリーも参画している。

なお、今回の資金調達により、これまで累計で調達した資金の総額は3億2200万ユーロ(約415億円)となる。

eVTOLエアタクシーを開発するVolocopter

2011年にドイツで設立されたベンチャー企業であるVolocopterは、すでに従業員数は数百人規模となり、急速な成長を遂げている。同社が最初にフライトを行ったのは2011年であるが、それから開発を続けて、2017年にはドバイで自律型eVTOL飛行実験を完了、2019年にはシンガポールのマリーナベイエリアで自律飛行実験を完了している。

欧州連合航空安全機関(EASA)による設計組織承認(DOA)を取得した、最初で唯一の電気垂直離着陸(eVTOL)企業でもある。

同社公開の動画への直リンク

特にVolocopterはロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコ、ワシントンDC、ドバイ、シンガポールなどの人口密度の高い大都市部でのエアタクシーを狙っている。マルチコプター方式の同社のeVTOL「Volocity」は乗員2名を運び、時速110kmで35kmの範囲を飛行することが可能だ。(ただしあくまで現行機であり、今後商用化までに次世代モデルが発表されてスペックが向上する可能性はある)

VolocopterのCEOであるFlorian Reuter氏はこう述べている。「Volocopterのように、規制当局の完全な承認を得て、世界中の都市で公に多くのフライトを行ったeVTOLエアタクシー企業は他にありません。私たちのVoloCityは第5世代のボロコプター航空機であり、都市向けの最初の認定eVTOLエアタクシーになるための強力な道を歩んでいます。Volocopterは、当社と業界の両方を商業活動に投入するためのUAM(Urban Air Mobility:都市エリアの空のモビリティ)エコシステムを設定するために必要な広範なパートナーシップをすでに持っています。私たちは理由からUAMのパイオニアと呼ばれ、その称号を維持する予定です。」

調達した資金で認証プロセスと商用ルート立ち上げを加速

今回調達した資金は、都市エリア向けに開発されているeVTOLエアタクシーのVoloCityの認証プロセスを促進し、初期の商用ルートの立ち上げを加速するために使用されるという。

Volocopterは2021年1月にも、米国連邦航空局(FAA)に対して同時型式証明の申請を行ったと発表した。2~3年後に商用化を行うために商用発売の認証に取り組んでいるという。

(補足)ここで言う同時とは、欧州連合航空安全機関:EASAからの型式証明を取得するプロセスに入っており、欧州と米国の認証プロセスを同時に進めることを意味すると想定される

(今回参考のプレスリリースはこちら


Joby Aviation、EHang、Volocopter、Liliumなど空飛ぶ車の主要ベンチャー企業の全体像について知りたい方は、こちらで特集記事を作成しているのでご参考。

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ー 技術アナリストの目 -
今年に入ってから、ArcherとJoby AcviationのSPAC上場の発表に次いで、大型の資金調達のニュースが来ました。また今回注目したいのは、自動車部品大手Tier1のコンチネンタルやNTT、東京センチュリーも新規投資家として参画したことですね。自動車Tier1勢で出資まで踏み込んだ例は、少なくとも公開されている範囲ではあまり見かけず、実用化が近くなってきている中で、増々自動車業界のプレーヤーとの協業が増えてきそうです。また、東京センチュリーはリース業を展開しており、今回の出資はVolocopterの機体を日本でリース展開することを狙ったものでしょう。実用化を見据えてCVCや事業会社による出資・事業開発の動きも活発化してきそうです。