先日、UberからスピンアウトしたServe Roboticsの記事を上げたが、また別のベンチャー企業が同じ近距離自律配送ロボットで資金調達を実施した。Refraction AIというこの米国ミシガン州のスタートアップは、2021年3月9日に4.2m$(約4.5億円)の資金調達を行ったことを発表した。

現在はシードステージ

同社は2019年7月に設立されたばかりのシードステージのベンチャー企業だ。同社の機体は近距離でのラストワンマイルを自律配送するために設計されており、3つの車輪で低速で、安全に走行し、食品や医薬品などの品物を届ける。走行スピードはわずか10~12マイル(20km/h弱)であるようだ。

詳細が公開されていないため機体の詳細は不明だが、下記の動画を見ると、側面についた扉を開くことで横から機体に品物を入れることができる。なお、Reflaction AIはCES2020に出展しており、当時ドローン大手DJIの子会社であるLivoxのLiDAR(性能はある程度限定されるが価格が安い)を活用していることを明らかにしている。

同社公開の動画への直リンク

車線と自転車専用車線の両方で走行が可能なであること、そして気象条件が悪くても走行できるようにロバストに設計されていることも特徴だ。

同社公開の動画への直リンク
雪が降る中を走行している様子

このRefraction AIは現時点ではミシガン州Ann Arborエリアに集中して、事業可能性を検証してきた。現在、このAnn Arborでは、7つのレストラン店舗がRefraction AIの実験に協力しており、フードデリバリーサービスを受けることができるようだ。

今回調達した資金を活用し、同社はラストワンマイル配送サービスの範囲と対象業界を拡大して、プロダクト・サービス開発を続ける。

最近の市場レポートによる、自律的な配送によるラストマイルデリバリー市場の年間成長率は20%を超え、2030年までに世界全体で915億米ドル(約10兆円)になることが予想されている。

(今回参考のプレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
ラストワンマイルでの自律走行ロボットの発表や資金調達も続いています。Refraction AIはまだシードステージであり、後発に位置しますが、Serve RoboticsやStartshipなど、興味深いベンチャーが多数出てきています。自動運転技術の短期的な適用先として、ラストワンマイルは面白い対象ですが、実際にどこまでユーザーが使うものになるかは、技術だけでなく店舗のカバー率や配達までの時間などに大きく左右されることにもなり、やや資金体力を必要としそうです。Refraction AIは今回の資金を使ってどこまでローカルエリアでアクティブユーザーを増やせるか、次の資金調達ラウンドに向けて問われることになります。