中国のLiDARベンチャーのRoboSenseは、昨年のCES2020で自動車向けソリッドステートLiDAR M1を発表し、CES2021ではその量産モデルの発表があった。そして3月12日、その量産モデルの生産ラインが立ち上がったことが発表された。

RoboSenseのソリッドステートLiDAR M1

今年発表されたRoboSenseのソリッドステートLiDAR M1の量産グレードのスペックは以下となっている。

  • 検出範囲 :150m以上(反射率10%) ※車両対象の場合は最大200mまで
  • 平均解像度:0.2°×0.2°(水平×垂直)
  • FOV   :120°×25°(水平×垂直)
  • サイズ  :108mm(奥行き)×110mm(幅)×45mm(高さ)
  • 毎秒0.75Mピクセルポイントの高解像度イメージを作成

このM1は昨年7月から北米自動車OEMを始めとして、世界中からサンプル受注の継続をしているという。

2021年末までにレベル3大型貨物トラックに搭載

このRoboSenseのM1は、中国の大型貨物トラック向けの自動運転システムを開発しているInceptio Technologyが採用する。Inceptioの自動運転システム「Xuanyuan」に導入され、Dongfeng TrucksとSINOTRUKと開発をしているレベル3大型貨物トラックに搭載されて2021年末までに市場に出てくるという。

このInceptioは、中国のリチウムイオン電池のメガベンチャーであるCATL(Comtemporary Amperex Technology Co., Limited)から2020年11月に120m$(約130億円)もの出資を受けている。

同社はレベル3の自動運転大型トラックの開発に注力しており、このトラックは7つのミリ波レーダー、5つのLiDAR、10台の4Kカメラを搭載しており、自社設計したディープラーニングによるAIチップも使用している。このAIチップは毎秒245TOPSの処理能力を備え、複数の異なるセンサーのリアルタイム処理を行う。この自動運転トラックは、最大1,000m先までの物体を検知できるとしており、最大距離でのエラー率は5%となっている。

(今回参考のプレスリリースはこちら


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ー 技術アナリストの目 -
RoboSenseのM1の量産ラインが立ち上がり、いよいよ自動車向けの中距離用ソリッドステートLiDARの量産品が本格的に市場に出てくることになります。また、レベル3の自動運転トラックにも採用されて、2021年内に市場に出てくることになりました。まだしばらくは台数は少ないと想定されますが、1つの採用事例として興味深い動きです。InceptioはVelodyneとも協業関係にありましたが、今回、RoboSenseの採用を決めたことで、最終的にはコスト面からRoboSenseのM1が選ばれたということでしょうか。(ただし前方遠距離用だけVelodyne製にしたり、Velodyne製のLiDARとも互換性を持たせるといった形で関係が続く可能性もあり)

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