自動運転ベンチャーのCruiseは現在、最も自動運転で開発が進んでいる企業群の1社と見られている。毎年カリフォルニア州が公開している離脱レポートでも、走行距離および距離あたりの離脱数においても、Waymoと並びトップを走る。

GM(ゼネラルモーターズ)傘下でもある自動運転ベンチャーのCruiseが、高齢者向け輸送サービスを展開するVoyageを買収したと、3月15日に発表された。

Cruiseが買収したVoyageとは

Voyageは2017年にシリコンバレーで設立されたベンチャー企業である。退職後の高齢者を対象にした、地域のコミュニティでの移動手段を提供するための自動運転輸送サービスを開発している。

Voyageについてはこちらでも記事にしているため、詳細を知りたい方はこちら。

参考記事:高齢者の地域コミュニティとしての自動運転輸送サービスを狙う米国ベンチャーVoyage

Voyageのポジショニングは非常に独特だ。巨額の資金が動き、やや後発勢が参入しにくい自動運転ど真ん中ではなく、高齢者の地域内移動に焦点をあてた低速自動運転の技術とサービスを開発している。

なお、今回の買収については、金額は公開されていない。

(今回参考のプレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
3月初旬より噂されていたCruiseによるVoyageの買収がオープンになりました。今回のCruiseの買収の意図を少し考えてみます。Voyageはオープンソースベースの自動運転ベンチャーで、すでにカリフォルニア州の自律走行距離でトップを走るCruiseにとって、技術的にはあまりメリットが無いように見えます。一方、Voyageの特徴は高齢者の地域内の移動サービスというニッチなセグメントであり、すでに高齢者コミュニティに深く入り込んでいたことから、「短期的なサービス立ち上げ」を狙って、Voyageのネットワークを買収したものと考えられます。Cruiseは元々2019年前後にサービス立ち上げを狙っていましたが、立ち上げが長期化しており、短期でサービス化するには特定領域に絞ったビジネスモデルはやりやすいと考えたのだと思います。