2021年3月15日、非侵襲グルコースモニタリングデバイスを開発している米国ベンチャー企業のKnow Labsが、14.2m$(約15.5億円)の資金を調達したことを発表した。今回のラウンドの出資者は、主に既存投資家とインサイダーによるものだという。

高周波分光法で体内グルコースを測定する技術

Know Labsはベンチャーというにはやや社歴が長い企業となっている。2003年に創業した同社は、電磁波を使った高周波分光法を使用して、電磁エネルギーを物質または材料にあてることで得られる固有の分子シグネチャーをから、体内の物質を判定する。同社がBio-RFID™と呼ぶこの技術は、さまざまなウェアラブル、モバイル、またはベンチトップのデバイスに組み込むことができるという。

そのKnow Labsは現在、非侵襲グルコースモニタリングデバイスの開発を行っている。同社が公開している動画で様子を見ると、現在は指先にセンサーをあてて、静止した状態でセンシングを行っている。

(補足:なお、最終的にはウェアラブルデバイス、特に同社HP上ではスマートウォッチの形状をしているようであるが、そうしたデバイスにすることを想定しているようであるが、同が公開時点ではまだウェアラブルではない実験用の測定装置となっているようである)

同社公開の動画への直リンク

なお、同社は上記の動画にもあるマイクロニードルによる低侵襲デバイスのDexcom G5との比較実験の結果を公開しており、2週間の測定データのサマリが以下となっている。

同社公開のDexcomのデバイスとの比較実験の結果

同社公開のデータより筆者作成

ただし、あくまで現時点ではラボ環境下での実験データでしかなく、ウェアラブルデバイスで測定したものではないようである点は注意だ。原理検証の段階ではFDA認証の得られている他のマイクロニードル型デバイスと比較して、悪くない結果が出たということになる。

同社については前回の記事で解説をしているので、こちらも参考。

参考記事:非侵襲グルコースモニタリングデバイスを開発するKNOW LABSがメイヨークリニックと研究契約を締結

前回記事執筆時点で15.5m$の資金調達総額であったことから、今回調達した資金も合わせると、技術的にはアーリーステージだが、約30m$の資金を集めたことになる。

Know Labsの今後の方向性

同社は今回の発表の中で、Know Labsの今後の方向性についても触れている。まず、今回の資金調達は、同社が計画しているナスダックまたはニューヨーク証券取引所への上場の計画のプロセスの一環となっており、今回調達した資金を以下の用途に活用する方針だ。

  • 国際的に認められた臨床研究機関との関係構築
  • 血中グルコース濃度を測定するための診断技術の小型化やアルゴリズムの改善
  • 知財・IPのポートフォリオ拡大
  • FDAの承認プロセスへの準備
  • (同社のもう1つの製品の)コロナウイルスを消毒する電球の市場投入の支援

(今回参考のプレスリリースはこちら


2021年に注目すべき、デジタルヘルスの健康・ヘルスケアモニタリングや解析技術の動向について整理した。技術の全体像について知りたい人はこちら。

参考:(特集)2021年デジタルヘルスの技術動向 ~健康・ヘルスケアモニタリング / 解析~


ー 技術アナリストの目 -
前回Know Labsを記事で取り上げてから、数か月時間が経ちましたが、資金調達という次のステップに繋がることになりました。ただし技術的には前回からまだアップデートは無いため、引き続き原理検証のためのラボテストを続けているということでしょうか。動画では、現時点ではまだウェアラブルにできていないようなので、技術が果たして小型デバイス化できるのか、小型デバイスにしたときにも良い精度が出るのか、連続的に測った時にも精度が出るのか、など、検証が必要なことはまだ多く残されていそうです。