現在、自動車業界で注目を集めるLuminar Technologiesは、3月に入ってからいくつかの重要な発表を行っている。1つ目は中国最大の自動車メーカーのSAICとの戦略的提携、そして2つ目は昨年SPACにより合併し、現在はNASDAQに上場している同社の事業進捗である。

SAICとの戦略的パートナーシップの締結

Luminarは3月18日に、中国自動車大手のSAIC Motor(上海汽車集団)との戦略的パートナーシップを発表した。

中国最大の自動車メーカーSAICがLuminarのLIDARを採用

SAIC Motorは中国最大の自動車メーカーであり、フォーチュングローバル100企業にも選出されている。2020年、SAIC Motorは560万台の完成車を販売し、過去15年間で中国で1位にランクされている。

Rブランドに向けて最適化、Over the Airも行う

SAICは「Rブランド」という、EV戦略の柱となる車種ブランドを立ち上げていた。このRブランドは、インテリジェント・電動化・シェアリング・グローバル化という将来の4つのビジネス戦略をターゲットにして立ち上げられたもので、純EVが従来の内燃機関の自動車とは製品属性・設計特性が異なることから、全く別の思想で開発するために構想された。

様々な最新技術を取り入れようとしているこのRブランドにおいて、LuminarのLiDARが採用されることになる。同社のLIDARとSentinelソフトウェアシステムのコンポーネントを使用し、Rブランド車両の自律機能と高度な安全機能を強化する。Rブランドのルーフラインに最適な見晴らしの良い場所にシームレスに統合され、オブジェクト検出、分類、追跡を含むLuminarのSentinelソリューションの特定のソフトウェアコンポーネントも統合される予定だという。これにより、高速道路における自律走行とプロアクティブセーフティ機能の車両への搭載を実現する。また、車両安全性向上のために、ソフトウェアのアップデートをOver the Airで行う機能も搭載される。

なお、両社の長期的な目標としては「すべての車両ラインナップでの広範な標準化である」としており、ゆくゆくは広範な車種でも搭載される可能性を示唆している。

SAIC MotorのYang Xiaodong副社長はこう述べている。
「当社の新しいRブランドの車両は、最高の技術と贅沢と快適さを組み合わせ、自律的な機能がそのビジョンの中心です。私たちが真剣に考えた唯一の自律走行車企業はLuminarでした。彼らのLIDAR技術とソフトウェアは独自のポジションにあり、Rブランドのシリーズ生産における我々のビジョンを達成することを、可能にします。」

2022年量産SOPに向け進捗は順調と報告

量産SOPの情報について2021年と記載してしまっており、訂正させていただきました。重要な情報にもかかわらず誤記載してしまい大変申し訳ございません(2021年9月30日)

また、Luminarは3月4日には、その事業進捗についても発表を行っている。

Luminarは、2020年にLiDARテクノロジーの量産バージョンである最初のIrisユニットのサンプル提供を開始。すでにVolvo Carが2022年からの採用を決めており、提供予定のIrisユニットの進捗として、エンジニアリング検証テストを正常に完了し、Bサンプルの最終段階に進んでおり、今年後半にCサンプルフェーズに移行する見込みとなっていることを発表した。

同社公開の動画への直リンク
事業進捗について動画で報告を行っている

また、量産立ち上げに向けて、Luminarはメキシコの生産施設でIrisを生産するための委託製造業者を選択したことも明らかにした。

受注活動は当初予想を上回り順調である模様

Luminarは、合わせて、同社のその受注活動も当初予想を上回り順調である旨を速報として発表している(なお、監査前のものであるため、あくまで変更される可能性はある)

将来の売上に繋がる受注数見通しは、当初想定していた10億ドルを超え、13億ドル強になること。そして、2020年の売上高は約14m$(約15億円)になること。また、2021年の売上予想は25m$~30m$になりそうであること(なお、2020年8月時点での見通しは2021年の売上は26m$だったという)。

また、今年2021年内に少なくとも3件の商業プログラムで受注を決めるという目標も明らかにしている。

(今回参考のプレスリリースはこちら、参考1, 参考2


ー 技術アナリストの目 -
LuminarはVolvo Cars、Daimlerトラック、Intel・モービルアイ、に続く大規模提携(受注)として今回のSAICとの提携について発表しました。SAICとの提携は中国市場への参入に大きな足掛かりとなります。中国系自動車メーカーは新しい技術の採用にも積極的であるため、中国勢での受注というのは今後も出てきそうです。

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