この数か月でウェアラブルデバイスによる血圧モニタリングは、様々な話題が出ており、ウェアラブルメーカーにとっては次の注目の的となっている。そうした中、Fitbitは最近、Fitbit Senseユーザーを対象に、血圧モニタリングに向けた新しい研究を開始することを発表した。

注目される血圧モニタリング

ウェアラブル血圧モニタリングは、​健康意識の高まり、技術の進歩、高血圧の有病率の増加、医療費の増加、等の背景から市場が拡大している。調査会社が発表しているところによると1)、市場規模は2020年の8億6000万ドルから、年平均成長率(CAGR)は16.3%で成長し、2025年には18億ドルに達すると推計されている。

直近でも、スマートウォッチ型のウェアラブルデバイスを開発するAkiitaが、血圧モニタリングでEUのCEマークを取得し、欧州で出荷を開始することが発表された。

参考:CEマーク取得し、英国で展開を開始した血圧ウェアラブルデバイスのAktiia

実際には過去から多くの企業がこの血圧モニタリングに取り組んできているが、いわゆるカフ型ではない方法のウェアラブルで、米国FDAの医療機器認定を取得した企業はいない(指カフやスマートウォッチ×胸パッチの組み合わせなどはFDA認定の事例としてある)。もしウェアラブルで血圧モニタリングが連続的に取得できるとなると、血圧は様々な疾患と関連があるため、健康モニタリングの新しい可能性を切り開くことになる。ただし、簡単ではない、というのがこの市場だ。

Pulse Arrival Timeの測定を模索する研究

この研究プロジェクトはFitbit Labsが実施するもので、Pulse Arrival Time(PAT):脈波到達時間の測定を模索する研究となっている。

※Pulse Arrival Time(PAT)とは、心拍後に血液のパルスが手首に到達するのにかかる時間

PATと血圧の間に相関関係があることはわかっているが、その相関関係は血圧を正確に予測するのには十分ではなく、また、これらの調査は小さなデータセットであったり、集中治療室のような特定の環境に限定されていた。

Fitbit Labsは、3週間の小規模な内部でのR&Dで、PATと血圧の間に相関関係があることを発見したという。そこで、新しい研究では、さまざまな条件下でPAT測定値がどのように変化するかについてさらに学ぶために、母集団を拡張する。

被験者の対象は、20歳以上の米国のFitbit Senseユーザーであり、調査期間は1か月となる。調査に参加する資格がある場合は、アプリで調査に関する通知を受け取る。

(今回参考の同社のブログ


ー 技術アナリストの目 -
記事でも触れているように、ウェアラブル非カフでの血圧モニタリングは、技術的に難易度が高く、実現は簡単ではありません。それでも最近、Aktiiaのようなベンチャーだけでなく、大手企業のサムスンも血圧表示機能を一部の国で利用できるような動きを始めています。Appleも継続的に血圧モニタリングの実用化を探っており、最近血圧モニタリングに関する特許出願もありました。どの企業が、どのように実用化してくるのか、定点観測していく必要があります。

参考文献:

1) Wearable Blood Pressure Monitors Global Market Report 2021: COVID-19 Growth And Change To 2030, ​The Business Research Company