小売り・物流・郵便市場向け専業のロボティクスベンチャーのCleveronは、同社では新しい無人の半自律型ラストマイル配達車両Cleveron701を発表した。これは、ラストマイル配達の効率化を目指す小売業や物流企業向けに設計されたもので、最近のeコマースの市場の成長により高まる同日配達の需要に対応することを目的として開発された。

ロボティクス技術を活用して様々なプロセス自動化を実現

Cleveronは2007年創業のエストニアベンチャーだ。半自律ラストマイル配達車両の他に、すでに実用化しているロボットソリューションを複数展開している。

例えばCleveron 301はスマート小包ロッカーである。スマホのアプリで操作を行うことにより、非接触、キーレスを実現している。郵便物、処方箋、オンライン注文などに使うことができる。また、Cleveron 501は冷蔵庫を備え付けた自動配達物ピックアップポイントで、様々な場所に設置することができる。

Cleveron501を説明する動画

このようにロボット技術を様々な形で配送・物流に応用しているのが同社のソリューションだ。

配送に特化した半自律運転車両

そして今回発表されたCleveron 701は半自律の自動運転車両となっており、食料品・小包などの物の配送に特化しているため非常にシンプルな構成となっている。最初のプロトタイプは2018年に開発され、2019年にはアムステルダムのParcel + PostExpoで開催されたParceland Postal Technology International Awards2019で、ラストマイルデリバリーイノベーションカテゴリを受賞した。

同社公開の動画への直リンク

エストニアの公道で6か月間走行テストが繰り返され、このCleveron 701はエストニアの全国の公道で運転するためのパイロットライセンスを取得した。

都市郊外などの交通量の少ないエリアを運転することが想定されている。この車両の稼働状況はリモートでモニタリングされ、倉庫や店舗から近くの顧客に1時間以内に商品を配送することが可能だ。最大時速は50km、最大耐荷重は約200kgである。この無人配達ソリューションは、1人の遠隔操作者が同時に10台の車両をモニタリグできるため、非常に効率が高い。

また、この車両は温度制御されたセクションを備えた食料品配達ロボット、小包配達車両、さらにはハイテクコーヒーロボットやアイスクリームトラックとして動作するように変更することも可能なようだ。

「私たちは、自律配送車両市場におけるCleveronの最新のイノベーションを発表できることを非常に誇りに思っています。新しい無人の半自動運転車により、小売業者やロジスティクス企業は、複雑でコストのかかるラストマイル配達の課題を解決しながら、同じ日、場合によっては同じ時間の配達に対する消費者の需要を満たせるようになります。」と、CleveronのCEOであるArnoKütt氏は述べている。「昨年、クレベロンがエストニアの路上で無人機を無制限に試乗するためのヨーロッパで最初の免許を取得して以来、クレベロン701がいかに簡単に都市生活の有機的な部分になったかに驚いています。さらに、消費者は環境に優しい配達ロボットから食料品、小包、レストランの配達、さらにはアイスクリームを手に入れることができます。」

同社はCleveron 701のセンサー構成を開示してはいないが、カメラが搭載されていることは動画から確認できる。必要に応じてリモートでの操作に切り替えることもできるようであり、そのために半自律という表現がされている。

この半自律車両は、2023年に量産を開始する予定となっている。

(今回参考のプレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
エストニア発のラストワンマイル自律車両です。エストニアは人口約130万人で、人口密度も高くないため、郊外などでは交通量が少ないことが想定されます。そうした外部環境から、自律車両が技術的には運用しやすい市場であると言えそうです(恐らくLiDARは搭載しておらず、カメラ+超音波での運用と想定しています)。コスパの高い郊外型の半自律車両、というセグメントでポジショニングを築こうとしているのだと思いますが、エストニア国外でも受け入れられるのか、今後の動きを見ていきたいと思います。