スマートEVを製造・販売している中国のベンチャー企業であるXpengが、現在行われている上海モーターショーで行われた同社のプレゼンテーションの中で、最新の空飛ぶ車の機体について発表を行った。

※4/20 プレゼン動画が再度公開されたため、内容を確認して加筆しました。

Xpengは2020年9月に行われた北京モーターショーで、すでにこの空飛ぶ車に関する研究開発について発表を行っている。この一連の機体開発は、Xpengの長期戦略に基づくもので、当時北京モーターショーでは第三世代のプロトタイプが展示されていた。

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この機体はXpengとCEOのHe Xiaopeng氏が過半数を所有するテクノロジーユニットであるXpeng Heitechによって開発されている。

前回の機体は8つのプロペラによるマルチローター方式でのeVTOLとなっており、空飛ぶ車というよりは、個人が乗るドローンというような、ドローンに近い構造となっていることがわかる。

今回のオート上海では最新の機体が発表された。マルチローター方式というのは変わらず、機体デザインがより洗練されている。

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同社はプレゼンテーションでこのように述べている。

「これは、ソフトウェアで再定義されたモビリティソリューションの一環です。ソフトウェアで車両を再定義する時、そのカギは従来のドライブのコンセプトを壊すものです。この機体Traveler Xは第四世代であり、我々は新世代の空飛ぶ車は将来4つのホイールと複数のプロペラを備えるでしょう。これは我々のソフトウェアで定義された交通における、機会の探索です。次の2年で、我々はさらに多くのモビリティソリューションを明らかにするでしょう。」

今回発表されたTraveler Xは8年間の開発の成果であり、第四世代として位置づけられている。1つの座席のみであり、すでに15,000回以上のフライトを成功させているという。また、今後はさらに空飛ぶ車への投資を拡大させることも明らかにした。

合わせて、同社が発表した現時点でのロードマップによると、2021年内に第五世代の新しい機体Traveler X2を発表するようだ。このX2はシートが2座席あるもので、広州でテストフライトを実施する予定だ。

「数多くの方が質問されます。いつ我々は空飛ぶ車両を空飛ぶ車(※1)にできるのかと。我々は現在、数多くのR&Dの努力を行っています。車をより軽量に、安全にし、垂直に離陸するようにする。また折りたたむことができ、ガレージに入れられるようにする。飛び立つ際には、充電ステーションで充電もできるようにする。空飛ぶ車両をどのように地上で使う電気自動車と統合するのか。我々は(こうしたことを統合していくことが)ソフトウェアで再定義される車の探索の一部であると信じています。」

※1 Xpengは空飛ぶ車両(Flying Vehicle)と空飛ぶ車(Flying Car)を用語として使い分けており、空飛ぶ車の意味するところは空飛ぶ車両にホイールがついており、地上での走行も可能なものであると想定される。


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ー 技術アナリストの目 -
前回の発表時は「まだ本格的に投資を行うか決めていない状態であり、空飛ぶ車の開発を通して、モビリティの未来を良く理解する、長期R&Dフェーズである」ということでしたが、明確にロードマップを持って研究開発を進めてきています。今回、何度も”Software Redefined The Car”ということに触れていましたが、同社のビジョンは、将来的にはスマート電気自動車と空飛ぶ車を統合するところにあることが随所で感じられました。すでに15,000回以上もフライトを行っているということで、かなり研究開発のスピードも速そうです。

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