中国のLiDARベンチャー企業であるRoboSense(ロボセンス)が、現在開催されている上海モーターショーの初日である4月19日に、自動運転システムを開発する中国ベンチャーのAutoX、自動車向けオペレーティングシステムを開発するBanma Network Technologyと戦略的提携を行ったことを発表した。

3社は3D LiDARセンサー、自動運転を制御するAIアルゴリズム、インテリジェントな自動車オペレーティングシステムというそれぞれの技術の協力により、高レベルの自動運転プラットフォームを構築する。ハードウェア、ソフトウェア、AI機能の融合を通じて、スマートコックピットと自動運転システムの統合が促進することを狙う。

AutoXの創設者兼CEOのJianxiong Xiao氏は、次のように述べている。
「中国では完全自動運転のRoboTaxiが現実のものとなり、乗客は車内でより多くの自由時間を過ごすことができます。スマートで楽しい旅行には、よりインテリジェントなサービスと車とのやり取りが必要です。3者によって形成された完全な製品エコシステムは、安全で楽しい自動運転ソリューションを実現します。」

AutoXは以前からRoboSenseと提携関係にあった

今回改めて両社の戦略的提携関係が発表されたわけであるが、AutoXは以前からRoboSenseと提携関係にあった。

RoboSenseの自動車向けソリッドステートLiDARのM1がCES2020で発表された際に、AutoXと共同デモンストレーションのパートナーシップを締結していることが明らかになっており、同じく発表されたフィアットクライスラー(FCA)の車両を使ったロボタクシー車両PacificaXにおいて、RoboSenseのLiDARが使われていることが明かされていた。

一方で、このPacificaXではDJI系列のLivoxのLiDARも使われているとされており、AutoXはRoboSenseとLivoxという2社の中国系LiDARをテストしている。

(補足)AutoXがRoboSenseのM1とLivoxのTele-15・Horizonを使い分けている可能性はあり、反射率10%で比べるとM1は最大150mの物体検知が可能で、Tele-15は最大320m、Horizonは最大90mの物体検知が可能となっている。長距離用はTele-15、中距離用はM1で、短距離用をHorizonと距離や目的に応じて使い分ける意図がある可能性もある。

(今回参考のプレスリリースはこちら


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参考記事:(特集) 車載LiDARの技術動向 ~種類・方式の特徴と全体像~


ー 技術アナリストの目 -
LivoxとAutoXの現在の関係は不明ですが、今回改めてRoboSenseから戦略的提携の発表があったということは、RoboSenseとAutoXの関係がより深いものになっていることを示唆しています。RoboSenseのM1は、今年のCES2021に量産ラインの立ち上げが発表されており、また、中国の大型貨物トラック向けの自動運転システムを開発しているInceptio Technologyが、自動運転トラックに搭載されることも決まっています。今後、RoboSenseのLiDARが市場で使われる機会も増えてくるかもしれません。

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