4月19日、4Dイメージングレーダーを開発するベンチャー企業のArbeは、中国の自動運転ベンチャーであるAutoXが開発する自動運転レベル4システム、ロボタクシー向け、そしてその他の自動運転プロジェクトにレーダーが採用されることを発表した。

5年間で40万台に搭載

AutoXは今後5年間で、Arbeが開発している超高解像度レーダーシステムを、40万台ものレベル4のシステムに統合する予定だという。この超高解像度レーダーユニットは、アプリケーション開発、AIベースの知覚アルゴリズム、およびセンサーフュージョンのためのセンサースイートのコンポーネントが含まれる。

Arbeは独自開発した自動車グレード向けのRFチップセット、特許出願中のベースバンド処理チップ、レーダーの相互干渉を防ぐFMCW方式(周波数連続変調)、これらの技術を組み合わせて4D超高解像度を実現した。同社によると、業界最大のチャネル数である2K解像度の独自技術により、市場のどのレーダーよりも100倍詳細な画像が可能になるという。

ArbeはSPACで上場を予定

このArbeであるが、3月にはSPACで米国新興市場のナスダックに上場することを発表しており、一連の取引は2021年の第2四半期後半、または第3四半期初めに完了する予定となっている。※記事中で4Dレーダーのスペックについても簡単に触れている。

参考:高精細4DレーダーのArbeがSPACで上場し、最大192億円の資金を調達

ArbeのCEOであるKobi Marenko氏はこう述べている。
「中国でRoboTaxiのトッププレーヤーであり、カリフォルニアで無人運転テストの開始が許可されたことからもわかるように、世界で最も革新的な自動車会社の1つであるAutoXと協力して、野心的なペースで高い安全性と性能を実現します。AutoXは、自動運転車の進歩の第一歩を踏み出し、中国市場のリーダーであることが継続的に証明されています。私たちのパートナーシップは、同社の前向きな姿勢の1つの証明です。」

AutoXは世界でロボタクシーの実証を展開

AutoXは2016年に、MITとプリンストン大学の自動運転技術者であるJianxiong Xiao博士によって設立された。現在は上海を含む最も人口の多い都市に100を超えるロボタクシーを展開している。深圳では今年からロボタクシーのパイロットプログラムを開始しており、中国における一般の道路においてドライバーの乗車無しで、一般車両と変わらない速度で無人運転実証実験を実施したのは同社が初めてという。

参考:完全無人自動運転システムを開発するAutoXが深圳でロボタクシーの一般向け実証プログラムを開始

また、AutoXは現在行われている上海モーターショーで、LiDARメーカーのRoboSenseと、自動車向けオペレーティングシステムを開発するBanma Network Technologyの3社で戦略的提携を行ったことを発表。AutoXのプラットフォームのLiDARにはRoboSenseのソリッドステートLiDAR M1が組み込まれるようだ。

参考:【上海モーターショー2021】RoboSenseが自動運転のAutoXと戦略的提携を発表

AutoXのシニア知覚エンジニアのDavid Liu氏はこう述べる。
「私たちはレベル4ロボタクシーフリートにArbeの技術を統合することに興奮しています。彼らのレーダーソリューションが私たちの車の安全性を大幅に高めると確信している。Arbeは市場で最も先進的な4Dレーダーソリューションを提供しています。世界で最も挑戦的で、密集した都市のいくつかがある中国で運営されているロボタクシーにおいて、Arbeの製品の高解像度と高度な処理能力を低遅延で活用できるようになります。」

参考:同社プレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
先日SPACによる上場を表明した4DイメージングレーダーのArbeですが、AutoXに採用されることが決まりました。AutoXは先日LiDARではRoboSenseとの提携も発表しているため、これでAutoXのLiDARはロボセンス、レーダーはArbeとなります(LiDARはLivoxも併用して使う可能性もあり)。LiDARに比べてレーダーのベンチャーは数が少ないですが、その中でもArbeは最有力候補の1社となっています。