4月19日、NIOは上海モーターショー2021でバッテリー充電ステーションについての発表を行った。この計画は「Power North Plan(パワーノースプラン)」とされ、今後3年間で実施される計画となっている。

中国北部に焦点をあてた充電インフラの強化

具体的には、中国の黒竜江省(Heilongjiang)、吉林省(Jilin)、遼寧省(Liaoning)、内モンゴル自治区 (Inner Mongolia)、甘粛省(Gansu)、青海省(Qinghai)、寧夏回族自治区(Ningxia)、新疆ウイグル自治区(Xinjiang)の8つの州・自治区を対象として、合計100のパワースワップステーション、120のパワーモバイル、500のパワーチャージャーステーションと2,000を超えるパワーチャージャー、10,000を超えるデスティネーションチャージャー(※1)を配備するという。

※1 デスティネーションチャージャーとは、ホテル、レストラン、ショッピングセンターなどの、人々が行く先々にある充電ポイントのことを指す

パワーノースプランの対象地域

NIO発表より筆者作成

パワーノースの計画が完了すると、当該地域においては電池交換ステーション、または充電ステーションが、高速道路100kmあたりで1つ、また県レベルの都市部においては全ての3平方kmエリア内に1つ設置されることになる。これは、当該地域において観光地のレーティングでAAAA以上の評価を得ている名所の95%をカバーすることになる。

なお、NIOはすでに2021年1月時点で170か所もの電池交換ステーション網を保有しており、今回のパワーノースプランでさらに100か所が追加されることになる。

第二世代の充電交換ステーションで交換を自動化

NIOはこの4月に、中国大手企業のシノペックと提携して、NIO Power Swap Station 2.0についても発表している。

この第二世代の電池交換ステーションは、視覚認識技術のアプリケーションを最大化するための239個のセンサーと、4つの協調型クラウドコンピューティングシステムを配備。ユーザーは車内にとどまりながら、ワンクリックでセルフサービスのバッテリー交換を完了することができる。交換効率を上げたこの第二世代は1日あたり312個もの電池交換が可能となっており、第一世代の3倍もの効率になるという。

シノペックはNIOと提携し、バッテリー充電と交換ステーションネットワークの開発に加えて、新素材、スマートEV技術、Battery-as-a-Service(BaaS)、車両購入、レクリエーション施設の建設に包括的に協力する。


ー 技術アナリストの目 -
今回発表のパワーノースプランのポイントは、高速道路と観光名所での集中的な電池交換・充電インフラ整備となっています。あえて地方の充電インフラ網をこのタイミングで整備する意図については発表では触れていませんが、恐らく都市部からの長距離旅行でのユーザーニーズを意識して整備しようとしているのではないかと思います。現在のNIOの顧客層は沿岸部を中心とした主要都市部であり、これまでのインフラ網拡充は北京・上海・深圳を中心に展開してきました。北京や上海から地方に車で移動できるように、地方の観光名所でインフラ網を増強する、となると北京から遼寧省までで6~7時間、吉林省までで約10~11時間なので、このあたりのエリアは北京からの旅行ケースを意識し、そして青海省や甘粛省でのインフラ整備は成都や西安あたりのユーザーを意識しているのかもしれません。