WM Motor(威馬汽車)は、現在行われている上海モーターショー2021で展示されている最新スマートEVのW6が、4月16日から正式に発売されてから3日間で先行注文が6,000台になったことをいくつかの中国メディアが報じている。

バイドゥの自動駐車支援システムを搭載

このW6は中型SUVとして位置付けられ、WM Motorにおける3番目の量産モデルとなる。自動運転支援機能を搭載したスマートEVであり、バイドゥのApolloで提供しているAVP(Apollo Vallet Parking:自動駐車支援システム)を活用したものとなっている。下記の動画を見てもらうとわかるが、駐車場に入った後は自動で周囲を認識し、無人で駐車をしている様子がわかる。

駐車場で、W6を動かして駐車ルートを一度覚えれば、システムが自動的に走行軌跡と事前設定された駐車スペースの位置をローカルおよびクラウドに記憶し、無人の状況での自動駐車を実現する。公共スペースの駐車場でも、個人の車庫でも両方に適用可能であるようだ。

同社公開の動画への直リンク

(補足)いくつかの日本のメディアでレベル4自動運転との記述がある。確かにWM MotorはこのW6の説明についてHP上でレベル4という記載もあるが、実際には運転支援機能としてのADAS(レベル2まで)と、駐車場での駐車・出庫に限定した自動運転であり、確かに駐車場という環境に限定していればレベル4ではあるが、ややミスリードしてしまう表現だ。

またW6は7ナノメートルプロセスの自動車グレードのQualcomm8155チップを採用。前世代のコックピットチップと比較して計算能力が8.5倍、画像処理能力が20倍になっている。また、5Gにも対応しており、インターフェースには音声認識システムや顔認識システムなども搭載。デュアル12.3インチの複合スクリーンに加え、エアコンタッチスクリーンを備えた3つのスクリーンがダッシュボードに設置されており、最先端のテクノロジーが詰め込まれている。

やや自動運転やスマートコクピットに焦点が当たるが、この車は電気自動車であり、最大エネルギー密度が180wh / kgのバッテリーパックを使用し、高効率のエネルギー管理システムを搭載して、NEDC基準で520km(または620km)の航続距離を実現する。

W6の価格は、助成金活用後の価格で169,800〜259,800元(280万円~430万円)となっている。


WM MotorやNIO、Xpeng、Li Autoら主要中国スマートEVベンチャーの直近の販売台数についてまとめた情報に興味がある方はこちら。

参考:中国EVベンチャーの電気自動車販売動向


ー 技術アナリストの目 -
WM Motor(威馬汽車)はNIO、Xpeng、Li Autoなどの他の中国スマートEVメーカーに比べて情報発信・マーケティング活動が少なく、ややその動向が心配されるところではありました(ベンチャー企業の情報発信が少なくなると経営状況が危ういというサイン、というのがよくあるパターン)。実際に販売台数はやや出遅れており、今回、W6の正式販売がこの4月から始まったことで、どれくらいの巻き返しになるのか注目したいと思います。また、もう1つのポイントはApolloのAVPを搭載した車がついに出てきたことですね。このように、モジュール化された自動運転機能がバイドゥから提供され、他の企業の車種で採用されるようになると、バイドゥの自動運転エコシステムがさらに拡がりを見せることになります。

中国の自動運転ベンチャーのロングリスト調査や、自動運転のプロジェクト動向の調査に興味がある方はこちら。

グローバル技術動向調査:詳細へ