5月5日、指輪型の睡眠モニタリングデバイスを展開するベンチャー企業のOuraは、シリーズCで1億ドル(約109億円)の資金調達を実施したことを、同社のブログで発表した。

今回の資金調達ラウンドは、消費者・スポーツ分野の投資家であるThe Chernin GroupやLA Dodgersの投資部門であるElysian Park、シンガポールの政府系投資機関のテマセク、日本から製薬企業のエーザイ等、多様なバックグラウンドを持った企業やファンドがリードインベスターとして主導。既存の投資家のForerunner Ventures、Square、MSD Capital、Marc Benioff、Lifeline Ventures、Metaplanet Holdings、Next Ventures等も今回の調達ラウンドに参加している。

今回のシリーズCにより、これまでの資金調達総額は148.3m$(約162億円)となった。

Ouraはこの1個約3万円の指輪型高級ウェアラブルデバイスを展開している。この指輪は、指からPPG(フォトプレチスモグラフィー)により心拍数や心拍変動を測定し、加速度センサーや温度センサの値も合わせて、睡眠状態を判定してモニタリングすることができる。

とりわけ、(原則寝ている間に限定されるが)心拍変動を正確に測定することができる点や、指から直接的に皮膚体温を測定することができるなど、他のスマートウォッチ型のウェアラブルデバイスには無い優れた生体センサーとしての特徴を持つ。

また、同社は今回のシリーズCの発表に伴い、これまでに販売したデバイスの数が累計で50万個を超えたことも明らかにした。NBA、WNBA、UFC、Aston Martin Red Bull Racing、NASCAR、Las Vegas Sandsといったスポーツ団体やゲーム団体とも提携しており、更に業界をリードしていく。


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ー 技術アナリストの目 -
OuraがシリーズCに到達し、100億円超の資金調達をしたというのは、ウェアラブルデバイス業界においてメジャー企業の一角として正式に認知されたということになるでしょう。そして、今回合わせてサイエンス責任者にShyamal Patel氏が就任したという話もありますが、同社の指輪型ウェアラブルデバイスの価値を更に高めるには、今後データ解析を強化する必要があると思います。生体センシングのプラットフォームとして、どのような使い方ができるか、睡眠計測という枠を超えられるかが更なる成長のポイントになりそうです。

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