デジタルヘルスにおいて、心血管ケアは非常に重要だ。WHOが2020年12月に発表した「The top 10 causes of death」では、2019年の世界全体における死因は、1位:虚血性心疾患、2位:脳卒中、3位:慢性閉塞性肺疾患となっている1)。1位・2位をいわゆる心血管疾患が占めている状態だ。

その心血管ケアをリモートで実現するバーチャルなプラットフォームを開発するHeartbeat Healthは、5月10日、シリーズBで20m$(約21.7億円)を調達したことを発表。リードインベスターはヘルスケアVCのEcho Health Venturesであり、腎臓病向けケアを手掛けるDaVitaグループのCVCであるDaVita Venture Groupや既存投資家が参画している。

Heartbeat Healthが開発するプラットフォームは、主にユーザーとして手術後に自宅でケアを行う人を想定しており、アプリを通して指定のウェアラブルと連携し、心電データを吸い上げる。そして、遠隔医療の機能を通して心臓病専門医と繋がり、ユーザーのデータに基づいてアドバイス・コーチングを受け、問題が悪化することを遠隔で防ぐことができる。なお、このプラットフォームと連携が可能なウェアラブルは現時点ではあまり公開されておらず、直接注文できる消費者向けウェアラブルと、医師が注文する必要のある医療機器ウェアラブルがそれぞれあるようだ。

同社は今回の調達で資金調達をした総額は30m$を超えることになる。前回のシリーズAは2020年に実施されており、順調にフェーズを進めている。

同社の共同経営者CEO・心臓専門医のDr. Jeff Wessler氏はこう述べている。
「私たちは、心血管ケアを最も必要としている患者のために、ソリューションを標準化し拡張するために、注目に値するバーチャルファーストプラットフォームを構築しました。リスクのある組織と協力することにより、私たちのモデルは低コストで疾患・病状を改善することに焦点を当て、この成長するバーチャルケアの分野に非常に必要とされているデータ駆動型アプローチを提供します。」

同社はこれまでにすでに米国2万人以上のユーザーに利用されており、今回の資金調達を通して製品の研究開発を加速し、臨床サービスの展開を加速していくという。

 

今回参考のプレスリリースはこちら


2021年に注目すべき、デジタルヘルスの健康・ヘルスケアモニタリングや解析技術の動向について整理した。技術の全体像について知りたい人はこちら。

参考:(特集)2021年デジタルヘルスの技術動向 ~健康・ヘルスケアモニタリング / 解析~


ー 技術アナリストの目 -
遠隔医療は大変期待されていますが、まだ今回のコンセプトである「データ駆動型」というのは本格的に実用化されていません。Heartbeat社のソリューションも、高度なデータ分析機能などがあるわけではないので、データ駆動型と言うとややミスリーディングしてしまいそうです。それでも、遠隔医療で医師に簡単に心電や血圧などの生体データを共有することができ、そのデータをもとにコーチングを受けられるというのは、データ測定→分析→診断・アドバイス、というリモートでの一連の流れを統合するものであり、興味深い動きとなっています。いくつかのウェアラブル企業やAI企業が生体データ解析にも取り組んでいるため、そうした要素も入ってきたらさらに面白いソリューションとなりそうです。

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参考文献:

1) The top 10 causes of death, WHO(2020)