ラストワンマイルのデリバリーに着目し、自動運転技術を適用し、自律走行配送ロボットで、自動で倉庫や店舗からユーザーまで届けることを狙うベンチャーが数多く誕生している。Nuroはこの分野で先行しているが、今年3月にはUberの自律配送ロボットのServe Roboticsがスピンオフベンチャーとして独立するなど、注目すべき動きが多い。

そうした中で、Starship Technologiesが展開する自律走行配送ロボットの利用が、パンデミックを背景に急拡大していることが、5月14日に同社から発表された。具体的には、パンデミックが始まって以来、同社が手掛ける配送が世界で4倍に拡大し、累計150万回の配送を行ったという。今年1月時点では100万回だったため、その後5か月弱で50万回上乗せしたことになる。

大学キャンパスを中心としたニッチな配送

Starship Technologiesは大学キャンパスと近隣エリアという閑静な市街地に限定してサービス実証を行う、自律走行配送ロボットを開発しているベンチャー企業だ。今年1月にシードステージで17m$の資金調達を発表した。

同社のロボットや自律配送の様子は以下の記事を参考。

参考:自動運転配達ロボのStarshipが17m$を調達し、100万回の自律走行配達を達成したと発表

Starship Food Deliveryアプリを使って、スマートフォンからユーザーはお気に入りの食べ物や飲み物のアイテムの範囲から選択。配送を希望する場所へ設定する。その後、インタラクティブマップを介して、ロボットが移動する様子を見ることができる。ロボットが到着すると、スマートフォンにアラートが送信され、ロボットのロックをアプリを介して解除できる。

2019年1月に米国バージニア州のジョージメイソン大学で配送サービスを開始し、現在は11州の15の大学キャンパスで利用することができる。

「Starshipの配達は、大学のキャンパスで特に人気があることが証明されています。大学のキャンパスでは、配達の記録が繰り返し更新されています。」と同社は述べている。

 

今回参考のプレスリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
Starshipはおおよそ2年間で100万回の配送を達成してきましたが、この1年で100万回以上を更に上乗せしそうです。パンデミック前後で大きく成長していることが発表されましたが、対象が大学のキャンパス内の配送が中心であるため、パンデミックで休校になり需要が減った部分もあれば、大学の寮生が使うなどの需要が増える要因もあったと思います。ワクチン接種が進んで平時に戻ったらどうなるかですが、大学生ユーザーの評価として「大学が始まるまでは配送ロボットを知らなかったが、今はそれなしでは考えられない」という声も紹介されており、ユーザーには高評価されているのだと考えられます。更なる事業加速が期待されます。