独自のFMCW4Dイメージングチップを開発しているSiLC Technologiesが、5月24日、シリーズAの資金調達を実施したと発表した。資金調達額は17m$(約18.5億円)となっている。

今回の資金調達ラウンドに参加したのは、Alter Venture PartnersとDell Technologies Capitalがリードインベスターとして主導し、Fluxunit – OSRAM Ventures、Sony Innovation Fund IGV、エプソン、UMCキャピタル、ヤマトホールディングス、グローバルブレインが参画した。

今回の調達により、SiLC Technologiesの合計資金調達額は30m$を超える。

4D FMCW Lidarを開発するSiLC

SiLC Technologiesは、シリコンフォトニクスの専門家であるCEOのMehdi Asghari氏によって2018年に米国カリフォルニアで設立された。

参考:独自の4D LiDARチップを開発するSiLC Technologies社がFrost&Sullivan社から表彰

同社は、長距離で高精度、かつ低コストでの生産を実現する独自の4D FMCW LiDARを開発しており、シリコンフォトニクスにより必要なコンポーネントを1つのチップに統合したことが特徴となっている。4Dであるため、通常のLiDARによる物体までの距離だけでなく、速度も計算可能だ。他のFMCW LiDARを開発するベンチャーと同様に、光源には1,550nmを活用。従来の905nmの様にアイセーフティを気にして出力を制限することなく、長距離に高出力で照射することができる。

このFMCW×1チップ化(シリコンフォトニクス)は現在、様々な企業が同じアプローチを取っており、デンソー×Aeva、そして自動運転ベンチャーのAurora×OURS Technology、Scantinel Photonicsなども同じアプローチを取っている。LiDARの低コスト量産と小型化を実現するために、シリコンフォトニクスは重要な技術となっている。

参考:デンソーとAevaが次世代LiDARの開発で提携

参考:FMCW LiDARベンチャーのScantinel PhotonicsがシリーズAを実施

参考:自動運転のAuroraがLiDARオンチップのOURS Technologyを買収

今回出資をしたFluxunit – OSRAM Venturesはこう述べている。「私たちは、シリコンフォトニクスにおけるチームの成果と、コヒーレント3Dセンシングの広範な採用の鍵となるFMCW チップの前例のないレベルの統合とスケーラビリティに感銘を受けています。」

現在は製品発売に向けた準備段階

今回調達した資金は、同社の事業を拡大し、製品開発を加速し、追加の製品設計案件を受注するために活用される。これらの活動は、生産前・製品発売に向けた準備の一環として位置づけられている。

 

今回参考のニュースリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
上記に挙げたFMCW LiDAR×シリコンフォトニクスの他のプレーヤー(AevaやScantinel、Aurora×OURS)らは皆、展開先のアプリケーションに自動運転に主眼を置いており、一方でSiLCはモビリティ、産業用マシンビジョン、ロボット工学、拡張現実、消費者向けアプリケーションなど幅広い用途を意識しています。自動車向けはレッドオーシャンの様相であり、短期的には産業用・ロボット用や消費者向けアプリケーションなどで実用化できると面白そうです。

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