病気の初期兆候を検出することができる技術を開発しているスマートトイレのOutSenseが、シリーズAの追加出資を受けて総額2.7m$(約3億円)の資金を調達した。投資家はLongevity Venture Partnersで、元々2020年に実施していたシリーズAの2.2m$に、今回0.5m$の追加出資を行っている。

病気の初期兆候を検知するスマートトイレの開発

OutSenseは2016年にイスラエルで設立されたベンチャー企業だ。OutSenseが開発しているのは、家庭にあるような通常の洋式便器に、クリップで簡単に取り付けることができるIoTデバイスだ。

このデバイスは光学センサーがついており、排泄物をスキャンする。そのスキャンした情報をAIで解析するものだ。OutSenseは人間の尿と便の光学仮想データベースを構築しており、病状の早期検知を可能にする。例えば便中の血中濃度を特定することで結腸直腸がんが検知できたり、尿路感染症、下痢、脱水症状、便秘などの状態を検知することができるようだ。

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今回出資を行ったLongevityは、今回の出資の動きと連携して、OutSenseが開発したデバイスの試験運用を行う。

トイレ×ヘルスケアの領域

このトイレ×ヘルスケアの領域であるが、近年、デジタルヘルスでは注目される1つの分野となっている。

トイレないしは排泄物は、豊富なバイオマーカーが存在しており、例えばイスラエルベンチャーのHealthy.ioは、自宅で尿検査ができるような簡単なキット×スマホカメラでの画像解析により、健康異常の診断を行う。すでにFDAからも認可を得ており、この領域ではかなり進んでいるベンチャーの1社だ。

日本の大手企業のTOTOはCES2020で、未来の技術を活用したトイレの新しいシーンをコンセプトとして発表した。トイレでお手軽健康チェックや、医療と繋がるトイレを指向している。

今後、OutSenseのような自宅で可能な便検査・尿検査の技術が発展すれば、ユーザーがあまり意識しないでも健康チェックができるようになり、将来の健康モニタリングにおいて重要な要素になる可能性がある。

 

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ー 技術アナリストの目 -
上記にもありますが、便や尿はバイオマーカーとして大変魅力的であり、今後のデジタルヘルスでの活用が期待されます。OutSenseやHealty.ioのような独自のデータベースや解析技術を保有している企業は興味深く、実用化にはやや時間がかかる可能性はありますが、日本企業にとってもこうした解析技術を保有する企業とのパートナリングは面白い座組みになりそうです。

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