シンガポールの自動運転ベンチャー企業であるMooVitaが、同じくシンガポールの公共交通機関大手のSMRT系列であるSMRT Venturesと、マレーシアのオフショア開発・生産・輸送大手のYinsonから、シリーズAで出資を受けたことが明らかになった。

なお、出資額は公開されていない。

無人運転ソフトウェアを開発するMooVita

2016年にシンガポールで設立されたMooVitaは、都市環境で走行することを想定した「車両にとらわれない」無人運転ソフトウェアソリューションを開発しているハイテク企業である。

MooVitaが狙うのは一般的な乗用車の自動運転ではなく、ラストワンマイルの近距離自動運転だ。想定する用途は、ホテル・リゾート・テーマパークや、工業団地・商業オフィス・住宅団地、農業機械、その他ラストマイルソリューションなどである。高齢者向けの自動運転ポッド、電動乗用車用バギー、乗用車など、複数の車両プラットフォームに製品を統合している。

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無人電動トラクターの実証実験の様子がCCTVによって放映されている

2018年には、パイオニアが、同社の3D-LiDARを搭載した小型シャトルバスで、MooVitaと共同で自動運転の実証をシンガポールで行っている。また、2020年にはマレーシアでパイオニアの子会社であるPioneer Smart Sensing Innovations Corporationと、5Gを使った自動運転実証実験も行っており、同社はMooVitaに出資も行っている。

MooVitaの共同創設者でCOOのDilip Limbu氏は、次のように述べている。「シンガポールとマレーシアをはじめ、アジアの都市景観全体でのMooVitaの無人公共交通ソリューションの展開を促進します。」

 

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ー 技術アナリストの目 -
シンガポールは人口密度が高く、狭い国土面積において道路が占める部分は多く無いため公共交通機関の効率化をシンガポール政府機関は追求しており、自動運転技術が注目されています。KPMGが発表している動運転車対応指数でも、シンガポールは常に上位にランクインしており、官民で自動運転の社会実装の整備が進んでいます。そうした中で、MooVitaはシンガポール発のベンチャーとして今回のシリーズAに到達しました。調達した資金で今後実証実験を拡大すると考えられ、シンガポールでの自動運転実証の動きも注目です。