中国のADAS・自動運転技術を開発するベンチャー企業のZongMu Technologyは、6月3日、シリーズDの資金調達を完了したことを発表した。今回の資金調達金額は190m$(約209億円)にも上る。

ADASや自動運転L4の技術を開発

2013年に設立されたZongMu Technologyは、上海張江国際科学技術センターに本社を置く中国企業である。上海、北京、深センなど中国国内に複数の拠点を持ち、ドイツにも事務所とR&Dセンターを保有している。

同社はADASや自動運転L4の自動駐車システム等を開発している。同社の強みは、総じてソフトウェア側にあり、ADS / ADAS(ドメイン)コントローラー、カメラ、ミリ波レーダー、超音波などのセンサーハードウェアに加えて、マルチセンサーを統合するアルゴリズム、そしてカメラを使った自己位置推定と環境地図作成を同時に行うSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)、また高精度で堅牢なマシンビジョンのためのディープラーニングアルゴリズムを構築していることにある。

FAW Hongqiブランドの量産モデルに、低速自動運転L4レベル製品(自動バレーパーキングシステム)を提供しており、すでに量産されているL4システムを提供することに成功している。

同社は、AmazonやIBMに加えてBaidu、Tencent、Huawei、Xiaomiなどの名だたる中国IT大手がスポンサードしている中国のAIカンファレンスのSAILアワードTOP30の最終候補にも選定されていた。

XiaomiがスマートEV分野へ参入を表明後の1社目の出資

今回のシリーズDは複数回に分けて実施されており、D1ラウンドは2020年にデンソー、重慶梁江新地域株式投資ファンド、湖州太湖グループ、およびJingkai Capitalをリードインベスターとして実施された。D2ラウンドではTongchuang Weiye、Gaoyuan Capital、Langtai Capitalが主導し、D3ラウンドは、XiaomiのCVCであるXiaomi Yangtze River Industry Fundが主導しており、今回D3ラウンドまで含めて全ての取引が完了したことになる。

今回の出資は、同社からの発表によるとXiaomiがスマートEV分野への参入を最近表明してから1社目の出資になるという。Xiaomiは2021年4月にスマートEV分野に今後10年間で100億ドル(約1.1兆円)の資金を投じる目標があることを明らかにしていた。

ZongMu Technologyの創設者兼CEOであるTang Rui氏は、次のように述べている。「当社のビジネスモデルは、戦略的パートナーとの緊密な協力により、ホストとなるメーカー(OEMやTier1を意味すると思われる)が中国の自動運転業界の持続的な発展と、高レベルの自動運転システムの、加速された大量生産を積極的に促進できるようにすることです。」

 

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ー 技術アナリストの目 -
完成車での自動運転システムを開発するPony.aiやWeRideなどの中国自動運転ベンチャーが注目を集めがちですが、ADASや限定的な自動運転システムを開発するシステムプロバイダとしての自動運転ベンチャーもいます。Xiaomiもこうしたシステム領域にスタートアップへの投資を通じて参入してきており、注視すべき動きです。