自動運転トラックを開発しているPlus.ai(智加科技)は、同社のSEC Filings(フォーム8K)で、Amazonの輸送部門であるAmazon Logisticsが、Plus.aiの自動運転トラックを1,000台購入する契約を締結したことを明らかにした。

購入契約+優先株の購入権の付与を実施

なお、今回の契約では、Amazon.com NV Investment Holdings LLC(Amazon傘下の投資会社だと思われる)に対して、優先株の購入権を付与しており、1株あたり0.47ドルの行使価格となっている。これは、全ての権利を行使後の希薄化後所有割合で、約20%分の株式に相当する。

もしAmazonが全ての優先株購入権の権利を行使する場合は、AmazonはPlus.aiの20%分の株式を保有することになるのだ。

既存トラックの後付けでの自動運転化

今回の契約は、既存トラックに対して後付けで自動運転機能を付与する、レトロフィットユニットの提供となっている。

Plusはレーダー、LiDAR、カメラを搭載し、HDマップとディープラーニングを組み合わせた大型トラック向け自動運転システムPlusDriveを開発しているが、このシステムは既存トラックにも適用することができる。

同社は、中国のFAW Groupのトラックメーカー一汽解放汽車(FAW Jiefang Automotive)ともトラックを共同開発しており、こちらは自動運転レベル3の新車トラックを販売する予定となっている。このように、Plusの自動運転システムユニットを核として、既存トラックも、新車トラックも市場の対象としている。

5月にはSPACで上場を表明したPlus.ai

Plus.aiは5月にSPACでニューヨーク証券取引所に上場することを発表し、話題となっていた。

最終的にはドライバー無しでの自動運転トラックを目指しているが、直近では、トラックにおけるドライバーの運転支援や、前述した自動運転レベル3新車トラックなどにプリインストールされる自動運転ユニットでマネタイズを図る。

参考:自動運転トラックを開発する智加科技(Plus.ai)がSPACでニューヨーク証券取引所に上場

 

今回参考のSEC Filingsはこちら


ー 技術アナリストの目 -
今回のはあくまでレトロフィットであり、現在Plus.aiが提供可能な自動運転機能では、高速道路で使うADASの域を出ないため(将来OTAで自動運転レベルが上がる可能性はあり)、Amazonで使われる機能もまずは試しにトラック運転支援機能を導入してみる、ということではないかと推測しています。技術的な評価が終われば、次にはAmazonからPlus.aiへ出資するという動きに繋がると思うので、どうなるのか見ていきたいと思います。なお、Plus.aiの技術ロードマップについては、上述の参考記事でまとめているので、参考にしていただければ幸いです。

【世界の自動運転トラック技術動向に興味がある方】

世界の自動運転トラックベンチャーの技術動向、自動運転トラックのプロジェクトの動向調査に興味がある方はこちらも参照。

参考:グローバル受託技術リサーチはこちら