既存の車両を自動運転化するシステムを開発している米国ベンチャー企業のGhost Locomotionが、シリーズDで100m$(約110億円)の資金調達を実施したことを、同社のブログで発表した。出資したのは老舗ベンチャーキャピタルのSutter Hill Ventures、そして米国トップクラスのVCであるFounders Fundらだ。

参考:既存の車を自動運転化してアフターマーケット市場を狙うベンチャーGhost Locomotion

HDカメラとプロセッサを既存車に接続

2017年にカリフォルニア州マウンテンビューで設立されたGhost Locomotionは、既存の自動車に後付けでHDカメラとプロセッサを接続することで、自動運転機能を実装できるシステムを開発している。

同社は、速度・サイズ・物体のタイプに関係なく、あらゆる障害物を検出して処理できる衝突防止技術を開発。8台のHDカメラと5台の強力なプロセッサを車のガス、ブレーキ、ステアリングに接続することで自動運転機能が実装可能だ。

ただし、どのような車種でも後付けで実装可能、という訳ではなく、同社によると現時点では一部の車種で利用可能になるとのことで、現在はまだどの車種で利用可能なのかはオープンにされていない。

Ghost CEOのJohn Hayes氏はこう述べている。

「自動車の安全性の革新は、歴史的に衝突の影響を軽減することに焦点を合わせてきました。我々は、クラッシュが発生する前に防止するテクノロジーをついに実現しました。この技術は、高速道路に安全な自動運転をもたらすために必要な画期的な技術です。」

Ghostが開発するシステムは、現在カリフォルニアで走行テスト中だ。同社は今回調達した資金を活用して開発を推進し、来年2022年に製品をローンチする予定であることを明らかにした。

当面は高速道路を対象とした自動運転機能となっており、米国内の適格な高速道路を運転することができる。OTA(Over The Air:無線ソフトウェアアップデート)機能も実装される見込みであり、システムは徐々にアップデートで強化され、自動運転の範囲が高速道路から路面に拡大される展開を想定しているようだ。

 

今回参考のリリースはこちら


ー 技術アナリストの目 -
同社は以前からステルスモードで開発を行ってきており、現在もあまりその技術情報について公開していません。前回記事執筆時に2021年に発売予定でしたが、今回2022年発売予定とされてり、やや開発期間が長引いているようです。新車に自動運転機能を搭載するのではなく、すでに走っている自動車に自動運転機能を後付けで付けるというのは、市場規模のポテンシャルとしては非常に大きく、短期的にマネタイズできる可能性がある点もVCに評価されているのだと感じます。

【世界の自動運転技術の調査に興味がある方】

自動運転システムを開発するベンチャー企業や、自動運転プロジェクトのベンチマークなど、自動運転の動向調査に興味がある方はこちらも参考。

参考:グローバル先端技術リサーチはこちら