呼吸器疾患に苦しむ患者の生活を改善するための、呼吸器モニタリングデバイスとアプリを開発するNuvoairがシリーズAで12m$(約13.3億円)の資金調達を実施したことを同社のブログで明らかにした。

今回の調達ラウンドには、テクノロジーとヘルスケア領域のVCであるAlbionVCがリードインベスターとして主導し、KAYA(旧Enern) 、Amino Collective、そして既存の株主であるSpiltan、Industrifonden、ノバルティスファーマAG(dRx Capital)も参画した。

世界中に存在する多くの呼吸器疾患人口

呼吸器疾患を患う人は数多く存在しており、Nuvoairによると、世界中で5億人以上が喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの慢性呼吸器疾患に苦しんでおり、これらの状態の管理に毎年3,000億ドル以上が費やされているという。

こうした呼吸器疾患を対象としたデジタルヘルスは現在様々なベンチャー企業によって取り組まれており、例えば以下のような企業が直近で動きを見せている。

参考:リモート呼吸モニタリングのAevice Healthが東邦HDと資本業務提携、日本市場へ参入

参考:医療用ECGウェアラブルパッチのVivaLNKが6分間歩行試験用ソリューションを発表

参考:イスラエル企業Itamarが医療グレードウェアラブルのSpryを買収、睡眠時無呼吸症候群の連続モニタリングを目指す(注:Spryは元々COPDモニタリング用のウェアラブルデバイスを開発していた)

NuvoAirはポイントオブケアの呼吸器疾患モニタリングを開発

NuvoAirは、スマートフォンに接続して使う、肺の状態をモニタリングするためのデバイスと、その結果をユーザーが閲覧するためのアプリ、そして医療提供者と患者を繋ぐプラットフォームを開発している。

同社公開の動画への直リンク

専用のデバイスを使い、スポットで肺の状態を確認していく。観測されたデータはすべてプラットフォーム上に蓄積され、健康と行動の重要な変化をリアルタイムで特定し、投薬の有効性に関するデータ主導の分析によって患者が自分の状態を管理できるようになることを目指している。

同社によると、NuvoAirのデバイス・プラットフォームを使うことで、臨床的に緊急の病院訪問を39%以上削減することができたという。また、同社のプラットフォームの利用継続率は95%と、非常にユーザーの評価は高い。

臨床研究でも様々な研究機関や病院、製薬企業と提携をしており、現在まで、ハーバードボストン小児病院、ニューハンプシャーのダートマスヒッチコック医療センター、ロイヤルブロンプトン病院、ロンドンのキングスカレッジ病院、製薬大手のロシュ、リジェネロン、ノバルティスなど、様々な提携関係がある。NuvoAirは20か国以上で臨床試験を実施しており、数千人もの医師に評価されているという。

NuvoAirの創設者兼CEOのLorenzo Consoli氏は、こう述べている。

「私たちのソリューションに対する需要の高まりと、より多くの患者にサービスを提供する可能性は、チーム全体を動かし、動機付けます。この資金調達ラウンドのおかげで、テクノロジー、データサイエンス、および臨床サービス機能をさらに拡張して、より多くの人々に力を与えることができます。」

 

今回参考の同社ブログはこちら


ー 技術アナリストの目 -
まだシリーズAですが、すでに数千人規模の医師に使われているということで、完成度がある程度すでに高い状態にありそうです。ノバルティスファーマもCVCを通じて出資しており、今後、こうした呼吸器疾患のポイントオブケアの領域で連携してくる可能性があります。日本でも製薬企業がデジタルヘルスの領域を取り込むことで、薬だけでない患者との接点を作り、患者のケアに対する関わり方を増やしていき、最適な形でポイントオブケアを狙う動きが見られます。