プレミアム栽培肉を開発しているイスラエルベンチャー企業のMeaTech3Dは、7月6日、豚肉栽培プロセスの研究開発を開始し、豚肉セグメントへ参入しようとしていることを発表した。

プレミアム肉製品を生産するバイオ3Dプリントを開発

MeaTech3Dは2018年にイスラエルで創業したフードテックバイオベンチャーである。

米国ナスダックとイスラエルのテルアビブ証券取引所に上場している。なお、テルアビブ証券取引所からは2021年8月に上場廃止になる予定であり、米国ナスダックに一本化されることが決まっている。

同社は代替タンパク質製品を製造するための培養・製造技術を開発している。特に細胞ベースの牛肉・鶏肉・豚肉の生産などを中心に行っており、ステーキなどのプレミアムな肉製品を生産するためのハイスループットバイオプリントシステムを開発している。

2020年11月にもバイオ3Dプリンティング技術について発表をしており、ウシ脂肪細胞とバイオインクで構成される培養牛脂肪構造のプリンティング生産技術を開発し、高さ10mmもの3次元肉構造を発表。今回、牛肉・鶏肉から豚肉へとその培養肉ポートフォリオを拡げようとしている。

2022年にパイロットプラントを設立予定

培養面に関しては、2020年の段階ではまだラボスケールのバイオリアクターが実証されたばかりであり、年内の技術開発を経て、2022年にスケールアップされた養殖鶏脂肪の生産を開始するためのパイロットプラントを設立する予定となっている。

同社のビジネスモデルは、最終製品を生産する技術を開発するとともに、付加価値のある食品加工業者や食品ブランドなどを対象に、生産技術をライセンス供与し、顧客の生産活動におけるエンジニアリングとサポートを行うBtoBビジネスを狙っている。

 

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ー 技術アナリストの目 -
単価が高くプレミアムセグメントとして最初のターゲットになりやすい牛肉(ステーキ)だけでなく、消費量が多い豚肉にも参入するということで、開発が問題無く上手くいけば、これで牛肉・鶏肉・豚肉というポートフォリオを構えることになります。同社としてはあくまで生産技術を供与するというスタンスであるため、大量生産工場を構える必要はなく、ファブレスビジネスモデルを指向するため、生産技術は幅広く持っておきたいスタンスということでしょうか。来年実証プラントが建設されるため、引き続き要注目です。

【世界の代替肉ベンチャー技術動向に興味がある方】

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