中国のスマートウェアラブルデバイスのZepp Health Corp(元Huami)が、年次開発者会議「Next Beat 2021 – The Future of Heath」でいくつかのキーとなる新技術について発表を行った。

新世代スマートウェアラブルチップ

Zepp Healthが独自に開発している新世代のスマートウェアラブルチップ「Huangshan 2s」を発表した。

このHuangshan 2sは、デュアルコアRISC-Vの命令セットアーキテクチャを使ったウェアラブルのためのAIプロセッサだ。(ちなみにRISC-Vとは、オープンソースのプロセッサであり、国内外で利用されている。詳細は1)等を参考)

2020年の開発者会議でも「Huangshan 2」が発表されたが、今回の次世代チップは前世代に比べて大幅にパフォーマンスを向上させている。動作時の消費電力は56%低減、休止状態の消費電力は93%低減し、電力消費を抑えつつもグラフィックスのパフォーマンスを67%向上させたという。

このHuangshan 2sスマートウェアラブルチップはZepp Healthの第3世代のAmazfitスマートウォッチで搭載される。

独自開発のウェアラブルOS

Zepp Healthは、自社で独自のウェアラブルデバイスOS「Zepp OS」を開発しており、オープンヘルス健康管理プラットフォームとしても位置づけている。

新しいZepp OSはわずか55MBであり、同社の以前のAmazfit OSの10分の1のサイズにすることに成功した。これは、Apple WatchOS8よりも消費電力が65%低く、同社が行った比較テストでは持続時間が190%向上したという。

また、このZepp OSは、同社が開発した独自のバイオセンサーアレイとAIチップからの高品質のデータとインテリジェンスを活用した新しいアプリを作成するための、開発者向けのMini Programフレームワークをオープンにしている。これによって外部のサードパーティーはZepp OSが搭載されたスマートウォッチを使ったアプリケーションを開発することができる。

このZepp OSは2021年第4四半期に正式にリリースされ、数千人規模の開発者が参加するスマートウェアラブルユーザー向けのグローバルなオープンヘルスエコシステムを形成することを狙う。

スマートウォッチで血圧測定をする技術

「Zepp Healthは、Amazfitスマートウォッチに非侵襲的でノースリーブの血圧測定システムであるPumpBeats™を発表することに興奮しています。」と同社は語る。

このスマートウォッチによる血圧測定技術は、同社の5年間の研究開発に基づいており、同社独自のAIチップとバイオセンサーを活用している。スマートウォッチに搭載された光学センサーによって、手首から血圧を測定するものだ。

同社が公開した情報によると、北京大学の病院での最初の臨床試験では、高血圧患者を対象にして測定したところ、測定値の偏差は収縮期血圧で5.14mmHg未満、拡張期血圧で4.88mmHg未満に収まっているという(※1)。なお、血圧測定はわずか30秒で完了する。

(※1)実験データの詳細が公開されていないので、何人の被験者で、何と比較した値かがわからないが、恐らくゴールドスタンダードとの測定値の差分を見ているものと思われる。

この血圧測定技術のPump Beatsは2021年第4四半期にAmazfit製品で利用可能になる予定であることも明かされた。ただし、この血圧測定はあくまでスポットでの測定であり、通常こうした手首から血圧を測定する場合、ユーザーは静止した状態で手首と心臓の位置を同じ高さにする必要がある。

同社は次のテーマとして、連続的な血圧モニタリング技術も現在開発中であるという。

(補足)なお、現時点で同社が血圧測定で医療機器認定を取得したという情報は確認できないため、どのような扱いになるのかはまだ不明である(血圧測定機能が使える地域が限定される可能性が高い)。


ー 技術アナリストの目 -
元HuamiのZepp Healthですが、元々はXiaomiのスマートウェアラブルデバイス部門として立ち上がったのですが、現在社名に「Health」と入っているように、完全なるヘルスケア・健康シフトを行っており、チップやセンサー、解析AIに多額の投資を行っています。中国企業の勢いはすさまじく、こうしたデジタルヘルスの分野でも今後中国企業が世界をリードしていく可能性を感じます。

参考文献:

1) 低コスト、高機能、高柔軟性を実現するオープンソース CPU命令セットRISC-V特集, FSI Embedded