自動運転システムを開発しているAurora Innovationは、SPACで米国新興市場のナスダックに上場することを7月15日に発表した。Reinvent Technology Partners Yとの合併となる。

約2,200億円の資金を調達

Auroraは今回の一連の取引を通して、約20億ドル(約2,200億円)近くの資金を調達することになり、取引完了時には約25億ドル(約2,744億円)の現金を保有することになると予想している。

なお、PIPE(※1)で10億ドルの出資のコミットがあり、PIPEで参加する投資家は、世界的な投資会社のBaillie GiffordやCounterpoint Global (モルガンスタンレー)、T.Rowe Price Associates、PRIMECAP Management Company、Reinvent Capital、XN、Fidelity Management and Research LLC、カナダ年金計画投資ボード、Index Ventures、セコイヤキャピタル、そして戦略的投資家としてのUber、PACCAR、Volvo Groupとなっている。

今回の取引では、Auroraの株式価値は110億ドル(約1.2兆円)と評価されている。

※1 PIPEについてはこちらを参考

トラックと乗用車向けの自動運転システムを開発

Aurora Innovationは2017年にシリコンバレーで設立された自動運転ベンチャー企業だ。創業者は自動運転業界のベテラン達であり、グーグルの自動運転部門の創設者、テスラのオートパイロットの開発者、Uberの自動運転技術の開発者が集まって設立されている。

同社はトラックと乗用車向けの自動運転システムを開発しており、FMCW(周波数変調)のFirstLight Lidar、長距離イメージングレーダー、高解像度カメラなどのカスタム設計されたセンサースイートと、最適化された機械学習アルゴリズム、HDマップなどで構成されている。

参考:自動運転のAuroraがLiDARオンチップのOURS Technologyを買収

2023年後半にトラックで商業化と発表

今回、Aurora Innovationは2023年後半に、7,000億ドルの市場であるトラック輸送で最初に自動運転技術の商業化を行うことを発表した。

同社の自動運転システムを搭載したトラックの製造パートナーは、以前より提携関係にあったVolvo Group(Volvo Autonomous Solutions含む)とPACCAR(Peterbilt・Kenworthブランド含む)であり、この2社のブランドは米国市場で販売されるクラス8トラックの約50%を占めている。

なお、Auroraが開発をしているのは自動運転レベル4の技術であり、段階的に開発が行っている。同社が今回発表したマイルストンによると以下のように位置付けられている。

  • フェーズⅡ(Develop & Refine):2021~2022年
  • フェーズⅢ(Validate):トラック→2022~2023年 | ライド→2023~2024年
  • フェーズⅣ(Launch):トラック→2023~2024年 | ライド→2024~2025年
  • フェーズⅤ(Expand):トラック→2024年以降 | ライド→2025年以降

このように、トラックとライドシェアではその商業化時期に1年程度の差があるようだ。

ライドシェアではUberと連携

2020年12月にはUberの自動運転部門であるUber ATGを買収し、従業員1,200人もの自動運転開発リソースを一気に抱え込んでおり(ただし1,200人全員が買収でAuroraに移管されたのかは不明)、現在同社の従業員数は約1,600人の規模となっている。

参考:自動運転ベンチャーAuroraがUberの自動運転部門を買収

Uberは自社内製での自動運転システムの開発を断念したわけであるが、同社のライドシェアサービスにおいて自動運転を取り込んでいくことは規定路線であり、Uber ATGを売却したものの、Auroraへの出資を行っている。

特に今回発表された内容において、Uberが保有する走行データやフリートデータにアクセスできることが明らかになった。これはUberのデータを元にして、どこに自動運転車両を配備したらよいか、またピックアップとドロップオフの効率的な再配置などに使われるようであり、AuroraはこのUberデータとの緊密な連携を競争上のアドバンテージであると表現している。

 

AuroraのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
AuroraもSPACで上場することになりました。従業員が1,600人もいるため人件費も相当なものだと思いますが、今回2,000億円近く調達するとのことで、2023年末の商業化も含めて資金余力が生まれることになります。ちなみに自動運転システムの初期のターゲットがトラック領域とロボタクシーであるというのは、Waymoや、先日シリーズAで90億円規模の資金調達をしたWaabiも同じような事業化ストーリーを描いており、おおよそ2023~24年くらいの時間軸で本当にトラック分野でマネタイズができるのかが問われています。