LiDARを開発・製造しているベンチャー企業のLuminar Technologiesは、同社のLiDARに搭載している独自のInGaAsチップを設計・開発協力していた外部パートナーOptoGration Incを買収したことを発表した。

LuminarのInGaAsチップで長年共同開発を行っていた

OptoGrationは近赤外分光法、レーザー脅威警告システム、化学物質識別用のブロードバンドフォトダイオードを開発する開発型中小企業である。とりわけ、同社が開発する検出器は、500nm未満から1700nmを超える範囲の波長の高感度検出を可能にする。

Luminarとは1,550nmの波長帯をLiDARの光源に使うために必要となる、特殊なInGaAs光検出器技術を共同開発してきた。米国マサチューセッツ州に専門の製造施設を保有しており、Luminarと共同開発した独自設計のInGaAsチップを年産約100万個の生産能力を持っている。

現在、LiDAR市場で多く使われている905nmのレーザーは、安価ですぐに入手できるという利点があるが、光が目の網膜に浸透することから、開放的な屋外等ではその出力を制限する必要がある。1,550nmは、そのパルス出力パワーが905nmに比べると非常に大きく、アイセーフティの問題を気にする必要が無い。長距離検出性能を出すために、多くの企業が1,550nmを活用したLiDARを開発している。

Luminarは、OptoGrationと開発したInGaAs光検出器チップと、同じく2017年にLuminarが買収したチップ設計子会社であるBFEによって製造されたシリコンASICを組み合わせている。

同社が主張するには、OptoGrationと開発したInGaAsレシーバーは、業界で最も感度が高く、ダイナミックレンジが最も高いInGaAsレシーバーとしている。現在、第5世代のチップがLuminarのIrisセンサーに電力を供給している。

OptoGrationの創設者が取引の一環としてLuminarに入り、引き続き技術開発を行うという。なお、OptoGrationの買収は第3四半期に完了する予定で、取引額は公開されていない。

Luminarの共同創設者兼最高技術責任者Jason Eichenholz氏はこう述べている。

「OptoGrationチームは、ますます厳しくなる要件を達成するパフォーマンスと品質を備えた光検出器を提供する能力においてユニークです。チップレベルの革新と統合は、パフォーマンスを解き放ち、大幅なコスト削減を推進するための鍵でした。」

 

OptoGrationのHPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
Luminarがアイリスで使っている1,550nm向けInGaAsチップですが、設計開発の外部パートナーがいたとは知りませんでした。中小企業のようですが開発・特殊品製造に長けているようで、買収によってチップの供給を確保するのと、コアコンポーネントの開発機能を内部に取り込むことで開発スピードを早めることができそうです。

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