リチウムイオン電池市場向けのシリコン・炭素複合材料を開発・製造しているGroup14 Technologiesが、SKマテリアルズと合弁会社を設立し、リチウムイオン電池負極用のシリコン材料の生産を拡大することを発表した。

4月の製造施設立ち上げに続くアクション

すでに現在、市場で使われているハイエンドのリチウムイオン電池の負極にはグラファイトにシリコンをブレンドしたものが使われている。今後、増々電池のエネルギー密度は高まっていく見通しであり、負極で使われるシリコンの比率は高まっていく方向となっている。

そうした中で、Group14はシリコンとカーボンの複合材料を開発し、提供している。同社の技術はSCC55™と呼ばれ、グラファイトとの任意のブレンド比に対応することが可能となっている。

今年4月には商業規模の製造施設を立ち上げたことを発表した。

参考:LIB向けシリコン材料のGroup14 Technologiesが商業規模の製造工場を立ち上げ

SKマテリアルズとの合弁事業

SKマテリアルズは韓国のSKグループの傘下にある、エレクトロニクスや半導体向けの産業用ガスや素材を製造している企業である。同社は2020年12月に行われたGroup14が1,700万ドルを調達したシリーズBでリードインベスターとして参画していた。

今回の合弁事業はシリーズBでの戦略的出資からの流れの動きとなっており、SKマテリアルズは、2022年に立ち上げる予定の韓国の電池材料製造ハブの開発に5,200万ドルを投資し、合弁事業を行うという。

今回のSKマテリアルズとの合弁は、LIB向けシリコン材料供給のサプライチェーンをさらに強化するものとなる。

Group14はこう述べている。

「サプライチェーンの混乱を緩和するために、Group14の新しい合弁会社は、SKマテリアルズとの合弁による韓国と、今年初めに立ち上げられた米国ワシントンの国内バッテリー活物質(BAM)工場の両方から供給します。」

 

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ー 技術アナリストの目 -
SKマテリアルズがシリーズBでリードで入って、そこからわずか半年ちょっとで合弁事業の発表となり、出資から合弁事業への流れがかなり早いです。すでに実用的な技術であることもありますが、今月SK Innovationが電気自動車用バッテリーに約3兆円の投資を行うことも表明しており、こうした点も追い風になっているのでしょうか。Group14には日本の昭和電工も出資をしており、今後、出資・協業を具体的な事業へと落とし込むことが求められそうです。

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