スマートフォンのカメラで血圧を測ることができる技術を開発しているBiospectalがシードステージで4.3m$(約4.7億円)を調達したことを発表した。

リードインベスターはデジタルヘルス分野に特化したVCのSeedLinkで、LabCorp、Athensmed、スイスベースのVCであるPrivilege Venturesやその他欧米の投資家が参画している。

スマホカメラで血圧を測定する技術

Biospectalは2017年にスイスで設立されたベンチャー企業だ。現在はシリコンバレーにも拠点を構えている。同社はスマホカメラで血圧を臨床グレードで測定する技術を開発している。

Biospectalの技術は、ビル&メリンダゲイツ基金、Grand Challenges Canada、Innosuisseからの助成を受けて、CSEM(スイス電子工学マイクロテクノロジーセンター)と共同で開発・検証されたものがベースとなっている。

高血圧は、心臓や脳、腎臓、その他の病気のリスクを大幅に高める深刻な病状として認識されている。そして、WHOによると世界中で推定11億3000万人が高血圧を患っており、その2/3が低中所得国に住んでいるという現状がある。

そして、この高血圧患者の多くが自分自身で血圧をモニタリングして、コントロールできていない状態にある。

Biospectalが狙うのは、これまでのカフでの血圧測定器が無くても、スマホがあれば自分の血圧を手軽に測定して状態を把握することができることだ。

参考:スマホカメラで血圧を測る技術のBiospectalが2つの実証研究を発表

現在はパブリックβ版がローンチ済み

同社の血圧測定スマホアプリは、ここ1~2年、展示会などでも展示・発表されてきたが、現在はパブリックβ版がローンチ済みで、テストユーザーが実際に利用をして試しているところだ。なお、テストユーザーには誰でもなれるわけではなく、BiospectalのHPからテストユーザーになることを申請する必要がある。

Biospectalが開発した血圧測定アプリOptiBPの様子

同社公開の動画への直リンク

アンドロイド版は2021年1月にテストユーザーへローンチされており、iOS版は現在α版となっていて、2021年後半にβ版がローンチされる予定である。

Biospectalは今回調達した資金を活用し、OptiBP™スマートフォン血圧モニタリングアプリケーションとデータプラットフォームテクノロジーを世界中に拡大していくという。

 

同社HPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
まだシードでの調達のため実用化にはまだ少し時間がかかりそうです。別の記事で新興国での2つの実証研究も開始したことを取り上げていますが、商業化するまではハードルがあります。現在同社が論文化した臨床データは50人の実験で良い結果が出たというものですが、血圧値が多様なグループでも同様に良い精度が出るのかの実験や、人種や肌の色が変わることによる影響なども確認する必要があるでしょう。将来実用化した際にはゲームチェンジャーになる技術となるため、今後の臨床研究の結果に期待したいところです。

【血圧測定技術や非接触生体センシング技術の調査に興味がある方】

世界の血圧モニタリング技術を開発するベンチャー企業や有望な大学研究機関、カメラベースやマイクロ波などによる非接触生体センシングの技術の網羅的な調査などに興味がある方はこちらも参照。

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