MEMS LiDARを開発しているベンチャー企業のAEyeは、自動車用および産業用のLiDARに関する生産に向けたマイルストンを、7月15日に発表した。

AEyeは2021年2月にSPACで上場することを発表しており、現在もまだ一連の手続きは継続している。

参考:MEMS LiDARを開発するAEyeがSPACで上場し、最大480億円の資金を調達

そうした中で、今回の生産マイルストンの発表は、AEyeに出資する自動車Tier1のコンチネンタル(Continental)の動きも含まれている。

コンチネンタルは2024年に統合ソリューションを生産開始

コンチネンタル(Continental)は、2020年10月にAEyeへ少額出資しており、乗用車と商用車において、SAEレベル3以上の自動運転向けLiDARを商品化するための共同開発を行うことを発表していた。

当時発表された時間軸では、最初の量産は2024年末を予定ということであったが、今回改めて2024年での自動運転システム統合ソリューションの量産を開始することが発表された形だ。

参考:コンチネンタルがマイクロMEMSを使ったLiDARベンチャーのAEyeに出資

コンチネンタルのセンサーシステムはレーダー、カメラ、超音波技術とAEyeのLiDARによって構成される。AEyeのLiDARはその他のセンサーを補完し、複雑で多様な交通シナリオや悪天候に対応できる、信頼性が高く冗長な自動運転プラットフォームを実現する。

このシステムは、低太陽、大雨、濃霧、低温または高温など、すべての環境条件で動作できる冗長性・堅牢性と、長距離物体検出性能を実現する。

パートナーシップの結果として、コンチネンタルはすでにドイツのインゴルシュタット工場で、新しい長距離LiDARの最初のサンプルを製造しており、サンプル生産から連続生産へのスムーズな移行をするため、生産ラインの構築準備を開始したことを明らかにした。

「新しい技術を開発する上で最も難しい部分の1つは、それらをマスマーケットにアクセスできるようにすることです。」とコンチネンタルは語る。自動車メーカーが信頼できる一貫した品質を確保するための、新技術の工業化に力を入れる。

産業用向けには今年9月から生産開始

AEyeは、同社が開発している4Sight M LiDARの産業用途向けに、今年9月から生産を開始すると発表した。

製造を行うのは、今回パートナーシップが発表された製造ソリューションを展開するSanmina Corporationであり、これまで生産をしていたAEyeのサンプルラインから、Sanminaの商業生産ラインへ移行する。

AEyeのCOOであるRick Tewell氏はこう述べている。

「4Sight Mはソフトウェアで定義可能であり、モビリティ、トラック、ITS、鉄道、建設、鉱業など、複数の市場アプリケーションで利用できるようになりました。」

 

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ー 技術アナリストの目 -
ようやくAEyeのMEMS LiDARの商業生産が始まります。元々同社がSPAC発表時に公開していた事業計画では2024年からADAS向けのライセンス・ロイヤリティ収入で大きくスケールするという絵を描いていたため、2024年のコンチネンタルによる量産開始というのは規定路線ですが、事業計画上、このコンチネンタル経由の売上はかなり大きな割合を占めることになりそうです。なお、LGやHELLAもAEyeには出資を行っており、これらの企業との関係はどうなるのか、今回の発表では触れられていませんでした。また新しい動きがあるかもしれません。

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