自動運転システムのためのディープラーニングベースのコンピュータービジョンAIを開発するAlgoluxが、シリーズBで18.4m$(約20億円)の資金調達を実施したことを、7月14日に発表した。

新しい資金調達ラウンドでは、Forte VenturesとDrive Capitalがリードインベスターとして主導し、自動車大手のゼネラルモーターズ傘下のVCであるGM Venturesや、ニコン-SBIイノベーションファンドも参画している。

同社の累積の資金調達額は、Crunchbaseによると31.8m$(約35億円)となる。

悪天候や視界不良下でもロバストなコンピュータービジョン

Algoluxの特徴は、そのロバストなコンピュータービジョンシステムにある。

同社が独自に構築したディープラーニングベースのアルゴリズムは、低照度、低コントラストな環境、悪天候下においても、精度の高い検出を可能にする。

参考:ADASおよび自動運転向けの次世代組み込みコンピュータビジョンソフトウェアをAlgoluxが発表

様々なAI・コンピュータービジョンにおける賞を受賞しており、最近、世界で最も革新的な人工知能スタートアップを対象とした2021 CB Insights AI 100リストにも選ばれている。

メルセデスベンツAGのAI-SEEプロジェクトに採択

Algoluxは、最近メルセデスベンツAGがコーディネーターであるAI-SEEプロジェクトに選定されたことも発表している。

AI-SEEプロジェクトとは、欧州18か国における研究開発競争力の促進をミッションとした、Eurekaという国際R&D支援ネットワークの下にあるPENTAという組織が運営する、研究開発支援プログラムである。

PENTAは、スマートエレクトロニクスシステムの分野での革新的で業界主導かつ競争的な研究プロジェクトを多数推進しており、中でもAI-SEEは自動運転分野における人工知能(AI)によってサポートされる、新しい堅牢なセンシングシステムを構築することを目的としている。

AI-SEEのプロジェクト期間は2021年6月1日から3年間となっており、助成される開発費用は総額で2,158万€(約28億円)となっている。

コーディネーターとしてメルセデスベンツAGが主導しており、コンソーシアムによる研究開発を行い、自動運転レベル4へと拡張するためのシステムを開発する。

Algoluxは今回のAI-SEEにおいて、深層学習AIアルゴリズム、異なるセンサータイプからのデータ融合(センサフュージョン)、長距離ステレオセンシング、レーダー信号処理において、技術と専門知識を提供することになる。

 

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ー 技術アナリストの目 -
Algoluxが前回のシリーズAから3年越しでシリーズBとなりました。資金調達のスピードは早いわけではなく、調達規模もこの分野からすると大きく無いですが、着実に技術を磨き、この間も様々なAI・コンピュータービジョンの賞を受賞しています。また、今回メルセデスベンツAGの主導するAI-SEEで選ばれたことも興味深いでしょう。また、Alogluxは元ダイムラーAG、かつ元Visteonの技術管理副社長を務めていたMatthias Schulze氏も迎え入れており、ここから事業開発が加速することが期待されますが、OEMやTier1も注力している領域だと思うので、自動車分野でどこまで採用されるかはまだ不透明です。

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