使い捨ての小型ウェアラブルECGバイオセンサーを開発しているLifeSignalsが、先日のCEマーク取得に引き続いて、米国FDAの認定も取得したことを、7月22日に発表した。

ウェアラブルECGバイオセンサー

LifeSignalsは2006年に米国で設立されたベンチャー企業だ。同社が開発しているウェアラブルECGバイオセンサーは、胸に張るタイプのセンサーで、心電図、心拍数、呼吸数、皮膚温度、体位データなどの情報を高精度で取得することができる。

このデバイスは、医療従事者が家庭や医療現場で、心電図(ECG)の収集と心拍数監視を継続的に行う無線リモートモニタリングの目的で開発された。センサーで取得したデータはLifeSignalsのサーバーに送られ、保存・分析される。そしてデータは専用のアプリでユーザーや医療従事者が見ることができる。

苦戦するウェアラブルパッチセンサ

LifeSignalsは今回、同社の最新のプラットフォームでFDAの認可を取得したわけであるが、その事業拡大はやや苦戦しているように見える。

同社はこれまでシリーズCまで実施しているが、前回の資金調達の動きはやや過去に遡り2016年のことだ。以来、主だった資金調達の動きはなく、研究開発フェーズが続いていた。

また、競合のMC10は100m$近くの資金を集め、業界で注目されていた。臨床研究用のウェアラブルパッチ型のセンサを提供していたが、2020年に同社のデジタルバイオマーカー事業はダッソー・システムズ傘下のメディデータ社によって買収されている。

一般に、ウェアラブルパッチセンサのようなセンサメーカー単独では、医療機関や患者から距離がやや遠く、新しく市場を創っていくという動きを取りずらい構造がある。一方でVitalConnectのように、医療機関と密接に結びつき、センサから解析まで行いソリューション化している企業は市場での実績が拡大している。

 

同社HPはこちら


ー 技術アナリストの目 -
上でも触れましたが、競合にあたるMC10が自社単独ではあまり上手く事業を伸ばせていないように見え、FDAを取得したとはいえ、バイオセンサー単独では事業開発がかなり難しそうにも見えます。同じくセンサープラットフォームとしては生体センシングが可能な衣服などもありますが、やはり同じ構造で、研究開発用以外に用途が開拓できず、数が伸びないという問題に直面しています。センサーメーカーがこの市場に挑む際には、この構造的問題をどうするか、解決策を戦略として組み込む必要があります。

【世界のウェアラブル生体センシング技術に興味がある方】

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